いわゆる主流派経済学は「財政赤字及び政府債務が拡大するとインフレ率や国債金利を引き上げ、やがて通貨価値を下落させ国家財政を破綻(デフォルト)させる」と主張してきました。
しかしながら、私たち日本国民にとっては誠に恥ずべきことながら、我が国は主権国家の予算に関する主流派経済学の理論がことごとく間違っていたことを示す完璧なケースとなっています。
財政赤字は高インフレを招くとはかぎらず、主権通貨国は自らの債務で破綻(デフォルト)することはなく、国債の利子率は中央銀行が操作できる政策変数であることが既に証明されています。
彼らが言うように、たしかに日本政府のプライマリーは赤字化が続いているし、政府債務対GDP比も諸外国に比べ突出していますが、それでも我が国は今なおディスインフレであり、国債の利子率は超がつくほどに低く、ましてやデフォルトもしておりません。
要するに、この20数年間の我が国における経済財政政策が、図らずも主流派経済学の間違いを証明したわけです。
このような間違った学問がなぜ未だに「主流派」の地位にあるのか甚だ疑問であり不思議なことです。
リーマン・ショックの勃発から間もない2008年11月のことだったと記憶しますが、イギリスのエリザベス女王が主流派経済学の世界的権威たちに「なぜ誰も危機(リーマン・ショック)が来ることをわからなかったの?」とお尋ねになられ、彼らを絶句させたらしい。
さぞ女王陛下もビックリされることでしょうが、恐ろしいことに主流派経済学の理論的支柱は「完全情報を有する合理的な個人(経済人)が完全競争市場において最適化行動を行う」という非現実的な仮定にあります。
いわゆる「一般均衡理論」です。
それともう一つ、女王陛下が耳にされたら驚愕するに違いないのですが、実は主流派経済学は「貨幣」とは何かを存在論的に定義できていない。
これは実に恐ろしいことで、いわば医療の世界において「血液」とは何かを理解していない医師が手術を施しているようなものです。
あるいは感染症の専門家が「ウイルス」とは何かを理解していないに等しい。
これマジです。