国民民主党が求める「所得控除額の大幅な引き上げ」には絶対に応じたくなく自民党は、今度はあからさまに日本維新の会に擦り寄っています。
きのうも自民・公明・日本維新の会の3党は、教育無償化に関する3回目の政策協議を国会内で開きました。
日本維新の会は、今年4月から所得制限のない高校授業料の無償化を実施するよう要求しており、それに必要な財源約6千億円を行財政改革などで捻出するとしています。
貨幣とは何かを理解できていない政治家どもには、残念ながら「財源は国債でいい」という正しい発想はでてこない。
病的なほどに「何らかの予算を削らなければ、新しいことはできない…」と思い込んでいます。
維新は例によって「捻出財源は行政改革だ」と言うけれど、世界を見回しても既に日本は「小さな政府」なのに、これ以上なにを削るというのでしょうか。
公務員の数を人口比でみても、アメリカの半分程度、あのサッチャー改革を行ったイギリスの約3分の1の規模です。
因みに、ここでいう「公務員」には、いわゆる「天下り」も含まれています。
ていうか、国家予算の規模からいって、そもそも6千億円なんてしょぼい金額は鼻水程度の規模ではないか。
高校の授業料だけではなく、とりわけ義務教育に関わる費用は、給食費を含めてすべて国庫負担にすべきです。
防衛がそうであるように、教育もまた究極のナショナル・サービスなのですから。
防衛については米軍様の費用まで思いやっているのに、教育については自国の国民を思いやらないのはいかなる了見なのか。
さて、前述の「何らかの予算を削らなければ、新しいことはできない…」という発想は、まさにプライマリー・バランス(基礎的財政収支、以下PB)の考え方です。
当該ブログでは繰り返しになりますが、PBとは、政府が支出する政策経費(社会保障費、防衛費、教育費、公共事業費等々)を税収だけで賄えているかどうかを示す指標です。
もっと簡単に言うと、PB黒字化目標とは、国債発行抑制目標のことです。
PBと財政破綻にはまったく因果関係はないのですが、愚かにもわが国は小泉内閣下の2001年以来、『骨太の方針』のなかでPB黒字化目標を掲げています。
骨太の方針は閣議決定されていますので、財務省はこれをもって「PBは法的根拠のある財政目標だ」としています。
しかしながら、PBと財政破綻には何ら因果関係はありません。
いつも言うように、その政府が財政破綻(デフォルト=債務不履行)するかしないかは、発行された国債が自国通貨建てであるかどうかです。
どんなにPBが黒字であっても、自国通貨建てで国債を発行できない政府は破綻しますし、逆にどんなにPBが赤字であっても、わが国のように自国通貨建てで国債を発行している政府は破綻しません。
論より証拠と言いますので、上のグラフをご覧ください。
21世紀に入って破綻したアルゼンチン、ギリシャ、レバノンのPB(対GDP比)は、いずれも日本よりも優れていました。
2011年ごろには破綻が噂されていたイタリアですが、イタリアもまたPBはずっと黒字続きです。
2009年に破綻したギリシャも、その前年までPBはずっと黒字続きでした。
ギリシャが破綻した理由は、発行した国債が自国通貨「ドラクマ」建てではなく、ユーロという共通通貨建てだったからです。
ユーロを勝手に発行できないギリシャは、手持ちのユーロが底をつけばむろん破綻します。
日本政府が発行した国債はすべて円(自国通貨)建てです。
円を発行できる日本政府が円を返済できない事態に陥る可能性はゼロ%です。
わが国は意味のないBPに縛られつづけ、国が滅びかけています。