借り換えの連続はグローバル・スタンダード

借り換えの連続はグローバル・スタンダード

本日(12月27日)、定例閣議が開かれ、来年度予算案が閣議決定されます。

例年、来年度予算案の閣議決定はクリスマス前に成されることが通例となっていますが、ことしは間に合わず、官公庁の仕事納めとなる今日にずれ込みました。

国民民主党が求めてきた「年収103万円の壁」の大幅な引き上げは、財務省を中心とする緊縮財政派の思惑通りに123万円という超小幅な引き上げにとどめられ、国民民主党の面目は大いに潰された格好となりました。

なお、国民民主党と与党との税制協議はいったん打ち切りの状態です。

少数与党になってもこれだけ強気に出てくるわけですから、もしかすると自民党は水面下で既に日本維新の会との協力体制を取り付けているのかもしれません。

本日、閣議決定される令和7年度予算案はまちがいなく「緊縮予算」です。

これまでも政府がまともな復興予算を確保していないために、能登半島では復興が大幅に遅れており、多くの住民が地元に戻ることができず高齢化だけが進み、益々もって過疎化しています。

こんな状況にありながら本格的な復興予算を組まず、予備費で対応している政府というのはまさに異常です。

それでいて「来年度は新規国債発行額が30兆円を下回り、税収増も見込まれる…」などと言って喜んでいる有り様です。

何度でも言いますが、国債発行は「将来世代への借金の付け回し」などではありません。

そもそも、政府が国債を発行するに際しては、国民からおカネを借りているのではなく、むしろ政府が国債を発行することによって国民の資産が増えてきたのでございます。

このことは歴然たる事実です。

そのオペレーションは以下のとおりです。

例えば政府が10兆円の国債を発行すると、民間銀行が日銀に保有する当座預金の10兆円が、政府が日銀に保有する当座預金に移ります。

すなわちこの時点で、民間銀行のバランスシートの借方(資産)に計上されている当座預金の10兆円が国債10兆円に変わり、一方、政府のバランスシートの貸方(負債)に国債10兆円が計上され、借方(資産)には10兆円の当座預金が計上されます。

そして政府は公共事業等を請け負った民間企業に対して10兆円を支払うわけですが、当然のことながら現金で支払うわけではございません。

政府は民間銀行に対し、当該企業への預金通貨での支払いを命じるわけです。

すなわち、おカネを受け取った企業の預金口座に10兆円が記載されますが、記載した側の民間銀行にとっては10兆円の負債が増えます。

ここがポイントですが、銀行預金は企業にとって資産ですが、銀行にとっては負債となります。

いつも言うように、誰かの資産は、必ず誰かの赤字なのでございます。

よって政府は、国債発行と同時にバランスシートの借方(資産)に移した当座預金10兆円を、民間銀行の当座預金にお返しして相殺します。

このように、全体としての当座預金の量を増やすことなく、政府は企業や家計に10兆円の貨幣を供給したわけです。

政府が国債を発行すると、企業や家計の資産が増えるのはこのためです。

さて、そうは言っても、この時点で政府のバランスシートの貸方(負債)には未だ国債10兆円が、民間銀行のバランスシートの借方(資産)にはやはり国債10兆円が残っています。

政府が10兆円の国債を償還してくれないと、民間銀行は赤字になってしまいます。

なので当然のことながら、政府は国債の借り換えを行って国債10兆円を償還します。

これで、めでたし、めでたし…

「あれ、借り換えた10兆円はどうやって返済するの?」

むろん、また借り換えるのです。

これがグローバル・スタンダードです。

上のグラフのとおり、明治政府以来、わが国の政府債務残高は天文学的な数字に跳ね上がっています。

ですが、現代を生きている私たち日本国民は、先人たちがつくった借金の返済などしていません。

未来を生きる日本国民もまた、私たちと同じです。