きのう、内閣府から『令和5年度 国民経済計算年次推計』が発表されました。
昨年度の国民1人あたりの名目GDPを米ドルで換算しますと、前年比0.8%減の3万3849ドルとなります。
3万3849ドルは、OECDに加盟している38カ国の中で22位です。
順位は前年と同じなのですが、額面においては比較できる1980年以降で最も低く、ついに韓国を下回りました。
ことしの経済成長率をみても、第1四半期(1〜3月期)の成長率は前期比で「-0.6%」、第2四半期(4〜6月期)は「+0.5%」、第3四半期(7〜9月期)は「+0.3%」で、ほぼ成長していません。
現在の日本経済はコストプッシュ・インフレで物価が高止まっている一方、基調としてはデフレにより総需要が不足しているのですから、成長するわけもなく。
上のグラフをご覧のとおり、誰かの黒字は、必ず誰かの赤字によって作られます。
ここでいう黒字とは、年間の収入よりも支出が少ないこと(資金過剰)を意味し、赤字とは年間の収入よりも支出の方が多いこと(資金不足)を意味します。
グラフでも明らかなように、非金融法人企業、すなわち一般企業が黒字(資金過剰)になっていることが大問題です。
本来、企業とはおカネを借りて設備投資等の投資を行い、生産性の向上によって利益を上げる経済主体ですが、上のグラフで黒字ということは企業投資が弱いことを意味しています。
では、なぜ企業は投資を控えているのか?
むろん、デフレという総需要不足経済により、製品やサービスの需要増が見込めないからです。
言うまでもなく、企業が投資を拡大する局面は中長期的な需要増が見込めたときです。
当該ブログでは繰り返しとなり恐縮ですが、デフレ期に需要(支出)を拡大できる経済主体は通貨発行権を有する政府しかありません。
逆説的になりますが、緊縮財政派のように、どうしても政府の赤字を減らしたいのであれば、もっと政府の赤字を拡大して需要を創出し、企業の投資(赤字)を増やすしかない。
上のグラフで言うと、政府に代わって企業こそがマイナス(資金不足)にならなければ…
現に、1980年代の後半のバブル経済のとき、政府は資金過剰(黒字)になりました。
残念ながら現在のわが国の政治は、国民が豊かになることよりも、政府の歳出を減らし歳入を増やすことに専念しています。
彼ら彼女らは「政府収支が黒字になるのなら、国民など貧困化してもかまわない…」と本気で思っています。
そのラスボスが宮沢洋一(自民党税調会長)か。