与党税調で取りまとめられた税制大綱は閣議決定を経て、来年1月から開かれる通常国会に提出され審議されます。
いわゆる「103万円の壁」問題については、3党の幹事長合意で「178万円を目指して引き上げる…」ことを3確約しながらも、税制大綱では123万円という、178万円には到底及ばぬ金額で決着させました。
国民民主党は3党合意を蔑ろにされたわけです。
与党の幹事長が国会という公の場で約束してきたことを、その下部組織である党税調会の会長が覆すという組織としてはデタラメな所業です。
「例え123万円でも178万円を目指したことにはかわりはない…」というのが彼らのレトリックなのでしょうけど。
因みに、123万円までの引き上げと、178万円までの引き上げでは、我々の手取りは大幅に変わります。
例えば、123万円に引き上げに留められた場合の減税額は、年収500万円の人で年間1万円程度です。
月ではなく年間です。
一方、もしも国民民主党が主張するように年収の壁が178万円まで引き上げられると、年収500万の人の減税額は13万2000円になります。
つまりこの問題は、103万円ぐらいの給与の方々の問題だけではなく、働く多くの人々に影響する話でもあるのでございます。
また、年収の壁が178万円にまで引き上げられますと、年収800万円以上の人なら減税額は年間22万8000円になりますが、123万円までの引き上げですと、減税額はたったの2万円です。
このように、12〜20万円も変わってくるわけです。
一年間で20万円もの手取りが増えれば、当然のことながら消費性向にも必ず良い影響がでます。
要するに自民党と公明党は3党合意を蔑ろにし、国民が手に入するはずだった「所得」を奪い、消費需要の拡大という経済効果をもぶっ潰しているわけです。
今回、自公の裏切り行為の背景には、財政支出の拡大を求める国民民主を切り捨て、緊縮財政派(身を切る改革)の維新を見方につけて協力をさせたい、という財務省の思惑があるらしい。
財務省に言わせると「国民民主、立憲民主、維新のなかで予算に対する影響が最も安上がりな政党は、維新だ…」というわけです。
維新としても、これまで訴えてきた「教育の無償化」さえ自公に飲ませることができれば、予算案に賛成する大義は整います。
現に、去る12月19日には、教育の無償化に向けた自民、公明、維新の実務者による初会合が開かれており「来年2月中旬までを目安に一定の結論を出す」としています。
なぜ、来年2月中旬まで、なのか?
むろん、3月に予算案を通すためです。
このままでは、年収の壁だけでなく、ガソリン税の暫定税率の廃止までもが無かったことにされそうです。
国民民主党の躍進と、自公(与党)の過半数割れによって、ようやく本格的な減税議論が進みだしたと期待していたのですが、はやくも暗雲が立ち込めています。
さらに最悪なのは、自民党と立憲民主党による緊縮財政派同士の「大連立」が成立することです。
お互いの条件さえ通れば、充分に有り得る話です。