当該ブログでは、ここ数回にわたって財務省による緊縮プロパガンダの手口をご紹介してきました。
手口とは、例えば「ご説明」と称する政治家への洗脳、国税庁による脅迫的税務調査、記者クラブ(財政研究会)を通じたメディアコントロールなどがあります。
とりわけメディアコントロールについては、経済財政の情報源が「TV」や「新聞」だけという人の場合、その人はまちがいなく財務省の洗脳プロパガンダに侵され易い。
きのう閣議が開かれ、経済対策の裏付けとなる補正予算案が閣議決定されましたが、早速、日本経済新聞社が次のような記事を書いています。
『経済対策、国債依存脱せず 税収増でも6.6兆円追加発行
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA291SX0Z21C24A1000000/
政府は29日、経済対策の裏付けとなる2024年度補正予算案を閣議決定した。一般会計の追加歳出は13兆9433億円だった。新規国債の追加発行は6兆6900億円と、対策の財源はおよそ5割を借金で賄う。24年度の税収は3兆円超上振れする見通しだが、「規模ありき」の総額底上げに追いつかず国債依存から脱却できていない。(後略)』
貨幣の正しい知識をもたぬままに、この記事を読むば、「あぁ、また国の借金(将来世代のツケ)が増えるのかぁ」と悲観してしまう人が圧倒的ではないでしょうか。
とはいえ、「対策の財源はおよそ5割を借金で賄う…」と日本経済新聞は強調するけれど、なんの事業であれ、財源は基本的に国債です。
会計年度主義を採っている政府は、地方行政もそうですが、歳出が先であり、歳入は後です。
役所では年度はじまりの4月1日から支出が発生しますが、その時点では税収はゼロ円です。
ご承知のとおり、税収が確定するのは年度末です。
これを「スペンディング・ファースト」と言います。
例えば地方自治体は税収が入ってくるまでのあいだ、借金で支出を賄います。
要するに地方であれ、中央政府であれ、まずは「借金ありき」なのです。
ゆえに毎年3月に審議される来年度予算案には、当面の支出を可能にするための「一時借入金」が必ず計上されています。
(実際には、銀行預金などの内部留保で支払っていますが…)
日本経済新聞の記事には「国債依存から脱却できない」と書いてありますが、そもそも政府による「通貨発行」自体が国債依存であることを知らないのか。
当該ブログでも繰り返し述べているとおり、政府は国債発行を通じて通貨(貨幣)を発行(供給)しています。
残念ながら、世界は広しといえども、国債残高を減らすために増税している国は我が日本ぐらいのものです。
「失われた30年」と言われるほどの長期的なデフレ経済が続いてしまったのもの、政府が歳出(貨幣供給)を抑え、税金(貨幣)を回収しすぎたからです。
貨幣は誰かが借金をしたときに世に供給され、誰かが返済したときにこの世から消滅します。
そして政府による徴税もまた「借金返済」と同じで、この世から貨幣を消滅させる行為です。
何度でも言います。
日銀券などの貨幣の本質は「返済の必要がない特殊な負債」です。
すなわち、私たち日本国民が持つお札(日銀券)は元を辿れば国債であり、永久に借り換えが可能という意味において「返済不要な特殊な負債」なのです。
誰よりも「負債」が嫌いな財務省は「貨幣」そのものが嫌いなため、この世から負債(おカネ)を抹殺しようと躍起なのでございます。
国民の懐を豊かにしていくことが経済政策の目的の一つであるとすれば、財務省はまさしく国民の敵です。