減税規模の縮減に必死な財務省

減税規模の縮減に必死な財務省

今日から臨時国会がはじまります。

衆院が少数与党であることから、議席数を増やした国民民主党がキャスティングボートを握るかたちになっています。

その証拠に、政府・与党では、国民民主党が主張する減税政策がはじまっています。

例えば、石破総理は本日の所信表明演説で国民民主党が求めている「年収103万円の壁の引き上げ」を表明しますが、控除上限を103万円から178万円に引き上げるのはまさに減税政策の一環です。

国民民主党は年収の壁の引き上げだけを主張しているわけではなく、ガソリン税や消費税の引き下げも主張しています。

こうした減税政策に真っ向から抵抗する緊縮財政派勢力の総本山は、むろん財務省です。

ゆえに財務省は、国民民主党が主張する減税政策について可能なかぎり小規模に限定しようと必死です。

彼らの手口はまず、「ご説明」と称して政治家たちの洗脳にかかります。

私も国会議員の秘書時代に何度もみてきましたが、一人の国会議員に対し、8〜10人ぐらいの財務官僚が大量の資料を持参して議員会館を訪れ、彼ら流の論理で説き伏せにかかります。

膨大な資料を見せつつ、小難しい言葉を駆使して「我が国の財政事情はこんなにも苦しく、このままでは破綻しますよ」とやるわけです。

すると、不勉強な国会議員たちは「あぁ、そういうものかぁ」と納得してしまうわけです。

また財務省は、省内の記者クラブ「財政研究会」を通じてマスコミのコントロールも行います。

メディアが定期的に主としてTVや新聞で「国の借金、国民一人当たり〇〇〇円!」と報じているのはその結果です。

それだけではありません。

積極財政派の政治家たちのスキャンダル探しから、国税庁をつかった脅迫的税務調査などなど、財務省は持っている権限を最大限に発揮して減税政策に抵抗してきます。

今回、財務省が行っている「ご説明」について、自民党政調関係者の発言として次のような報道があります。

「財務省は与党の政策担当者を中心に熱心にレクに回っていますよ。物価や賃金推移などに関する大量の資料を持ってきて、消費者物価やパートの平均賃金は1995年と昨年を比較すると約1.1倍。物価上昇に合わせると、103万円の壁を113万円程度に引き上げるのが妥当で、玉木の言うように178万円まで上げるのは財政への影響が大きすぎると説明している」(自民党政調関係者)
https://news.yahoo.co.jp/articles/d32e22a9bec5f1421f5b70862731f503b798d0a7

もしも国民民主党の主張どおりに178万円まで壁を引き上げますと、年収500万円のサラリーマンで年間約13万円の減税になります。

すなわち、13万円の手取りが増えるわけです。

これに対し、例えば壁を128万円に引き上げても、手取り増は37,500円程度です。

よって、財務省が主張する113万円への引き上げでは微々たるものとなってしまいます。

むろん、やらないよりはましですが、これではさほど意味のある減税効果は期待できず、少なくとも日本経済を成長軌道に乗せるほどの牽引力は発揮できません。

国民民主党が「178万円」までの引き上げを求めている根拠は、我が国の最低賃金は1995年と比べて1.73倍であることから、年収の壁も同水準に引き上げねばならない、というものです。

引き上げられていない現状は「最低限の生活に必要な所得に対しては税金をかけてはならない」という憲法で保証されている生存権にも反する、と。

ちなみに、178万円に引き上げによる歳入減は、わずか7兆円程度です。

その程度の歳入減など、新規国債を発行すればいいだけの話です。

国債発行が将来世代の付け回しだと信じている人たちは、残念ながら税務省の洗脳に侵されている人たちです。

地方の首長や議員の中には「年収の壁の引き上げには、地方への財源措置が必要だぁ」と言っているお〇〇さんがいますが、地方交付税交付金制度が何のためにあるのか知らないのでしょうか。

こうした主張こそがまさに財務省の思うツボであることを、彼ら彼女には理解できないらしい。