G7(日、米、英、独、仏、伊、加)外相会議がロンドンで開かれています。
2日目となった5月4日は、中国及びロシア情勢が討議されたとのことです。
前日の3日にはラーブ英外相とブリンケン米国務長官とが既に会談しており、そこでもやはり中国やロシア情勢についての意見が交わされています。
ブリンケン米国務長官は会談後の記者会見で「中国による法の支配などの国際秩序を脅かす言動を防ぐことが先進国の責務だ」と発言していますが、6月に開催予定のサミットにおいても中国への対処が全体を貫くテーマとなることが予想されます。
もしも各国の経済成長が既存ベースで推移してしまうと、なんと2028年には米国のGDPが中国に抜かれてしまう事態となります。
まさにそれこそが、バイデン政権が積極財政に転じた最大の理由です。
要するに、政府支出を拡大することで国全体としての競争力を高めるという政治の基本に立ち戻ったということです。
G7が中国を「囲い込む」のか、それとも「封じ込む」のかはわかりませんが、既にアフターコロナを実現している中国に対抗するためには、まずは一刻も早くコロナ禍を克服することが最重要課題となります。
上のグラフのとおり、コロナ禍対策の政府支出額を対GDP比で見ますと米国が圧倒しています。
通貨発行権を有志ない共通通貨(ユーロ)加盟国のドイツ、フランス、イタリアは別にすれば、主権通貨国の中では日本が一番に少ない。
加えて日本だけがほとんど経済成長していないことを踏まえると、日本政府によるコロナ禍対策への支出は決して多いとは言えない。
しかもEUは、昨年3月の時点で既に、安定・成長協定(SGP)の財政規律要件(財政赤字はGDP比3%以内、債務残高はGDP比60%以下)を一時的に停止しています。
あの緊縮至上主義のドイツですら、憲法上の債務ブレーキ(財政赤字はGDP比0.35%以内)を2020年と2021年は停止しています。
それに対して日本政府はどうか…
未だに財務省はプライマリーバランスの黒字化目標を堅持しており、隙きあらば「増税」及び「歳出削減」の機会を伺っています。
世界をみまわしても、これほどの有事に際し「財政規律の健全性」を訴えている無知なる政治家などいませんが、恐ろしいことに日本だけにはいます。
加えてワクチン接種においても我が国は先進諸国のなかで最低レベルであることから、残念ながらG7のなかで一番最後にアフターコロナを迎えることは必定です。
かつて戦前は経済的にも軍事的にもアジアの盟主であり、戦後は先進国経済を牽引する経済大国であったのに、いまや先進諸国のお荷物的国家になりつつあります。