東短リサーチ㈱の加藤出(かとう いずる)というエコノミストがいる。
この御仁、テレ東の朝の経済番組では常連さんで今朝もインチキな解説をしていました。
なんと「日本は大規模にバラマキをしてきたわりに経済が成長していない」と言う。
そして政府債務残高(対GDP比)の伸びと累積経済成長率とを比較してみせ、「ほらね、こんなに政府債務残高が増えたのに経済が成長していないでしょっ…」とやりやがる。
実にイカサマな解説です。
政府債務残高が増えたのは、バラマキの結果ではなく、デフレ(総需要の不足)経済の結果です。
てゆうか、そもそも「バラマキ」ってなんだ?
もしも氏の言う「バラマキ」なるものが「政府支出の拡大」のことを意味するのであれば、明らかな嘘解説です。
上のグラフのとおり、日本は世界でもっとも政府がおカネを使っていない国です。
日本が経済成長していなことだけは事実だが、もしも我が国が早い段階でデフレを払拭し経済を成長させていたならば政府債務残高がここまで増えることはなかったでしょう。
ただ、そもそもからして政府債務残高を減らす必要などありません。
政府債務残高とは政府の「通貨発行残高」に過ぎませんので…
しかも政府債務残高を圧縮させようとしてきたこと自体が、デフレという国民貧困化経済を継続させてきた最大の要因です。
因みに、政府債務残高が増えてきたからこそ日本の家計金融資産が世界一になったことを加藤出は知らないだろう。
さて、米国はバイデン政権に変わって、40年ぶりとなる大きな政策転換をしました。
その政策転換とは、積極財政への転換です。
バイデン政権は「財政健全化という発想はもはや時代遅れだ」としています。
しかも米国では名だたる経済学者やエコノミストたちも「財政政策は単なるカンフル剤ではなく、長期の成長戦略として必要だ」という認識に立っています。
即ち、政府支出の拡大は「痛み止め効果」や「カンフル剤」ではなく、経済の長期成長のためには必要な経済政策であると言っているわけです。
残念ながら我が国は、財政政策(政府支出の拡大)が乏しかったことで総需要不足を解消できず経済を成長させることもできませんでした。
それでも加藤出は今朝の番組で「いま日本は痛み止め効果で低金利と財政バラマキを行っているが、日本国民は感覚麻痺を起こしている」と言っていた。
感覚が麻痺しているのはおまえだぞ!
加藤出には絶対に理解できないことであろうが、政府支出の拡大が足りなかったからこそ日本の対GDP政府債務残高は膨らんでしまったのです。
財政支出の拡大は財政収支を一時的には悪化させますが、その後、経済が成長していくことで対GDP政府債務残高は低下していきます。
むろん、過剰なインフレや金利上昇等のリスクは金融政策によって調整可能です。
ぜひ我が国も、積極財政への大胆な転換をはかるべきです。