きのう、総務省から9月の「家計調査」が発表されました。
二人以上の世帯の消費支出は一世帯あたり287,963円で、物価変動の影響を除いた実質値で前年同月比1.1%の減、前月と比べても1.3%の減となりました。
二人以上の勤労者世帯の手取り収入にあたる可処分所得は40万2605円で、物価変動の影響を除いた実質の実収入は前年同月比1.6%のマイナスとなり、社会保険料の負担増加が重くのしかかったようです。
実質消費が1.1%減のマイナスとは、「これまでパンを100個変えていたのに、今は98.9個しか買えなくなった」という意味を持ちます。
すなわち、国民の貧困化です。
「たったパン一個分か…」と思うかもしれませんが、国民経済全体で捉えると決して小さなことではありません。
そもそも真っ当な経済というのは実質消費が年々増えていくべきものです。
もっとも、我が国の実質消費下落がはじまったのは、2020年のコロナ禍からではありません。
下のグラフのとおり、実質消費は今世紀に入って以来、長期的に落ち続けています。
しかも、ピーク時と比べると2割減です。
国民経済の中心となる消費が、「かつてはパンを100個買えていたのに、今は80個しか買えなくなった」わけですから、私たち日本国民の貧困化は誠に凄まじいものなのでございます。
なぜ、このようなことになったのでしょうか。
むろん、長きにわたってデフレ経済が放置されてきたからです。
我が国は愚かにも、1990年代後半から公共事業や研究開発投資を削減する緊縮財政を続けてきました。
国や地方自治体が歳出を減らしてきたのですから、デフレを脱却できるはずもない。
デフレを脱却し、経済を成長軌道に乗せないかぎり、すなわち一人あたりのGDPを増やしていかないかぎり、実質賃金や消費支出が上昇することはあり得ません。
よく政治家たちは「GDPの6割を占める個人消費がぁ〜」と言いますが(石破総理もよく言っています)、GDPは政府支出の規模に比例することを彼らは知らない。
川崎市などの地方自治体もそうですが、税収はGDPに比例し、GDPは行政支出に比例します。
ゆえに、消費税であれ、所得税であれ、税率を引き上げずとも税収を増やすことは十分に可能なのでございます。
にもかかわらず我が国では政府も地方自治体も国をあげて緊縮財政を行い、政府は税率を引き上げてきたのです。
まこと、救いようがない。
豊かになりたいのであれば、もっと政府や役所にカネを使わせることです。