流動化する世界

流動化する世界

米国の大統領選は、トランプ前大統領が勝利しました。

日本のメディアの偏向報道に慣れてしまうと、「大統領選は接戦になる」と思われがちでしたが、結果はトランプ前大統領の圧勝に終わりました。

グローバリズムの行き過ぎで国が分断している米国ですので、ハリス氏が敗北宣言でどのようなスピーチをするのかに注目したいと思います。

選挙の結果が出た以上、敗北宣言では「ノーサイド」であることを強調すべきでしょう。

ハリス氏が「ノーサイド」を強調すれば、トランプ大統領もまた再び国を一つにまとめる方向にもっていくはずです。

覇権国である米国の分断と弱体化が、現状においては必ずしも我が国の国益につながるわけではありませんので、まずはそのことを期待したいと思います。

また、退潮する覇権国によるグローバルな関与が、過去80年間のそれとまったく同様に進むとは思いませんが、それでも今なお相対的には世界最強の軍事力を有する米国ですので、その国際主義外交が求められるところです。

トランプ大統領の言う「メイク アメリカ グレイト アゲイン」は、必ずしも米国が覇権国としての役割を放棄するものではないであろうと拝察します。

とりわけ、ロシア、中国、イラン、北朝鮮は、ウクライナ戦争をきっかけに政治、経済、軍事的、技術的な結びつきを強めており、それぞれに共有する利益を確認し合い、軍事的にも外交的にも連動して米国による一極秩序を壊し、新たな秩序を構築しようと試みています。

ゆえに、これらの国々をリビジョニスト国家と呼ぶ人もいます。

これに対して再登板したトランプ大統領がどのようなビヘイビアをとっていくのか注目されるところです。

まちがいなく世界は今、第三次世界大戦の瀬戸際にあります。

①イスラエルとハマスの紛争、②ロシア・ウクライナ戦争、③台湾侵攻を目論む習近平の中国、これらの危機に対し、トランプ政権はどのような働きかけをしていくのでしょうか。

お分かりでしょうか、今挙げた①②③にはすべて、前述のリビジョニスト国家が関わっています。

今なお、我が国の政治家たちの多くが「日米関係こそ外交の基軸である」と考えているようですが、日米関係はあくまでも集団安全保障体制を維持・強化するための一つのツールであって、それを外交の基軸になどしてはならない。

なぜなら彼らの言う「基軸」とは、敗戦国根性を丸出しにした対米従属のことを意味するからです。

米国様に言われたことを基軸にしているようでは、独立国として日本国民の安全と豊かさを守ることなどできないし、国際社会の中で名誉ある地位を築くこともできない。

流動化するであろう世界において、我が国が進むべき道は、私たち日本国民、及び日本国民に選ばれた指導者たちが主体性をもって示さなければならない。