きのう、石破内閣となって初めての『経済財政諮問会議』が開催されました。
これを日本経済新聞社が「自民・公明両党と国民民主党が政策協議入りし、財政拡張や減税の圧力が強まるなかでの開催となった」と報道しています。
議論の対象は今月中にも政府がまとめる経済対策ですが、会議の議長を務める石破首相は「今後経済が需要不足から供給制約の局面に変化していくことを踏まえ、人手不足への対応を含め、経済全体の成長力、供給力を強化していく」と述べたらしい。
それにつけても、積極財政を主張する国民民主党が議席を増やし躍進したことの影響は大きい。
国民民主党の協力を得なければ、補正予算も法案も通らないわけですから。
特に財務省や自民党の緊縮派は戦々恐々としているようです。
早くも財務省は、国民民主が主張する「基礎控除額の引き上げ(103万円→178万円)」に対して露骨な情報戦を展開しています。
きのうの記者会見で加藤財務相は「国と地方で(税収の)減収が見込まれ、高所得者ほど減税の影響が高い」と言っています。
もちろん、財務省に言わされているわけですが、まったくもって説得力の欠片もない理論です。
基礎控除を178万円にした場合の減税効果について、財務省は次のように試算し公表しています。
【年収】 【減税効果】
2300万円 約38万円
500万円 約13万円
210万円 約9万円
金額だけを見ますと、確かに高所得者層の方が恩恵を受けているように見えますが、減税率は低所得者層の方が高い。
それに「年収の壁」を103万円から178万円に引き上げることで全ての勤労者が恩恵を受けますので、高所得者だけが恩恵を受けるかのような加藤財務相の説明はアンフェアです。
また、「年収の壁を引き上げると、国と地方で税収減が見込まれる…」などと、あたかも財源が足りなくなってしまうと言いたげな語調ですが、そもそも税収は財源ではありません。
租税の主たる目的は、インフレ率を調整するための貨幣回収に過ぎない。
中央政府は国債を発行し、支出します。
そして「後」で税金として国民の財布から貨幣を回収しています。
国であれ、地方であれ、行政は歳出が「先」(スペンディング・ファースト)なのでございます。
すなわち、減税とは貨幣回収量を減らせ、という政策です。
それにより国債発行残高は増えますけれど、それで何か問題でもあるのでしょうか。
「将来世代へのツケがぁ〜」と叫ぶ議員さんが与野党を合わせ多々おられますが、お願いだから黙っていてほしい。
国債残高は通貨発行残高なのですから、そもそも増えていくこと自体が正常な状態なのです。
よって、国民民主党が主張する基礎控除額を178万円に引き上げることは政策的にも現実的にも十分可能です。