今日明日の二日間、日銀では金融政策決定会合が開かれます。
日本経済新聞は「(日銀は)追加利上げに向け、賃金と物価の好循環の実現を目指している」という記事を書いているあたり、財務省の御用新聞としても更なる利上げを望んでいるのでしょう。
前回の金融政策決定会合で日銀が利上げに踏み切ったのも、財務省からの圧力だったと言われています。
そもそも我が国では「金融と財政の分離が必要だ」とされ、1998年に日銀法を改正して財務省(当時は大蔵省)から金融監督庁(現在の金融庁)が分離されたはずです。
よって、もしも本当に財務省様のご意向が金融政策に影響したのであれば大いに問題ですが、財務省が日銀に利上げをさせたいと考えているのは紛れもない事実です。
利上げをさせ、「金利ある世界」を演出することで、「これからは政府の利払費が嵩むので財政支出の拡大などできませんよ」という話に彼らはもっていきたいわけです。
ていうか、デフレを脱却して景気が良くなるのであれば、金利が上がったって一向に構わない。
例えばバブル期の国債金利は5〜6%でしたが、それで何の弊害もありませんでしたし、景気が良かったので財政支出を拡大する必要もありませんでした。
むしろ、バブル期こそ緊縮財政が必要です。
財務省をはじめ緊縮財政派は理解していないようですが、MMT(現代貨幣理論)に基づく積極財政派が主張しているのは、あくまでもデフレ脱却とコストプッシュ・インフレ対策のための財政支出の拡大であって、永遠に財政支出を拡大しろと言っているわけではありません。
すなわち、経済が成長軌道に乗り、適度にインフレ率がデマンドプルで上昇するのであれば、それ以上の財出拡大は必要ない、と言っております。
それを理解できないのは、財政赤字は絶対悪であり、おカネは有限であり使ったら消えてしまうモノと考えているからでしょう。
財政赤字を絶対悪とするのを「健全財政論」といい、おカネを有限的なモノとするのを「商品貨幣論」といいます。
しかしながら、健全財政論も商品貨幣論も共に間違いであることはMMTによって完璧に証明されています。
「政府の赤字は悪だ」というのは「国民の黒字は悪だ」と言っているに等しく、おカネが有限的なモノであるのなら銀行の信用創造など存在しない。
意外に知らない人たち多いのですが、銀行は他人様から集めた預金を又貸ししているのではなく、無から預金を創造しておカネを貸し出しています。
信じがたいことかもしれませんが、本当にそうなんです。
それにつけても、冒頭の「追加利上げに向け、賃金と物価の好循環の実現を目指している」という日本経済新聞の記事はひどい。
賃金と物価の好循環こそが目的であって金利はその手段にすぎないはずで、利上げのために賃金を上げるというのはいかなることか。
賃金と物価の好循環をつくるために財政支出の拡大が必要であり、それが実現した結果として金利水準を考えるというのが本筋です。
緊縮のための利上げ、利上げのための賃金上昇など、どうみてもおかしいだろうに。
ちなみに、実質賃金(現金給与総額)は27ヶ月ぶりにプラスに転換したものの8月には再びマイナス圏に戻っています。
利上げなどできる状況にはありません。