食料安全保障の立て直しを

食料安全保障の立て直しを

FAOによれば、9月の食品価格指数(FFPI)は124.4ポイントで8月より3%上昇し、2022年3月以降(ロシア・ウクライナ戦争以降)、最大の前月比上昇を記録したとのことです。

これに中国の台湾侵攻が加われば、世界の食料価格はさらに上昇することになるでしょう。

ちなみに、今もしも世界に核戦争が起きたら、日本人7,200万人が餓死すると言われています。

我が国は、おコメについてはなんとか100%ちかい自給率を維持しているものの、小麦、大豆、トウモロコシなどは完全に外国に依存していますので宜なるかな。

穀物を大量に自給する国々と、外国からの穀物に依存せざるを得ない国々との二極化が進んでいる中、日本は完全に後者です。

上のグラフのとおり、人口一人あたりの穀物生産量をみますと、我が国はG20諸国の中で下から2番目です。

なお、よく言われている、日本の食料自給率38%はあくまでもカロリーベースです。

種子、餌、肥料まで考慮に入れた食料自給率となると、我が国はかなり厳しい状況にあります。

おコメについては確かに100%ちかい自給率を保っているわけですが、必ずしもおコメの生産量が増えているわけではありません。

残念ながら国内需要は減っており、生産過程で使われる肥料は100%輸入です。

野菜についても、その自給率は80%を維持しているものの、野菜の種はほぼ100%が外国で生産されています。

もちろん、日本の種子会社が委託生産していますが、戦争やパンデミックなどで交易路が途絶えてしまえば種が入ってこないのでアウトです。

このようにカロリーベースの自給率ではなく、種や肥料の自給力はもちろん、土地、生産、ロジスティック、消費という部分まで一貫して考えるのが食料安全保障です。

では、なぜ日本は種を国内で生産しないのでしょうか。

その理由について農林水産省は、「日本で作るとコストが高いから…」などと驚くべき説明をしています。

農林水産省は、安全保障の「あ」の字も知らない。

要するにビジネスの発想なのです。

ビジネスの発想に立ってしまうと、とりわけデフレ経済下の日本においては農産物を高く売ることができないため「生産については低コストの外国で…」ということになってしまうわけです。

さて、問題の大麦、小麦、大豆、トウモロコシですが、大麦はもともと8割近い自給率を維持していたのですが、今は10%ぐらいまで下がりました。

小麦については、今や90%が輸入です。

これは、米国から安い小麦が入り続けたために日本の小麦農家が太刀打ちできなくなって生産規模が縮小してしまった結果です。

日本の食生活にとって必需品である大豆(醤油も豆腐も大豆です)については、これも米国産にやられ、現在の自給率は7〜8%という悲惨な状況になっています。

こうした我が国における穀物(小麦、大麦、大豆、トウモロコシ)の米国依存は、完全に米国様のご意向で成し遂げられたものです。

敗戦利得者政党の自民党は、これに全く無抵抗でした。

唯一、田中角栄先生だけは、日本の総理大臣として抗おうと立ち上がってくれたのですが、例のロッキード事件で潰されてしまいました。

我が国の食料安全保障を立て直すためには、一刻もはやく敗戦利得者政治を終わらせなければならない。