衆院総選挙の選挙戦も本日で最終日となりました。
自公の過半数割れが一つの焦点となってきました。
なんとしてでも政権にしがみつきたい自公としては徹底した野党批判に懸命です。
自民党の選対本部長の小泉進次郎氏などは、応援演説の中で「自公が過半数割れすることを目指している野党は無責任であり、こんな野党に政権を任せるわけにはいかない…」と叫んでいましたが、総選挙なのですから野党が与党の過半数割れを目指すのは当然でしょう。
与党の過半数割れを目指さない野党の方がむしろ問題です。
この男、常にどこかピントがズレている。
また、小泉氏は演説で「子育て支援にしっかり予算をつけていきます」とか、「高齢者対策にもしっかり予算をつけていきます」とか訴えていましたが、「予算をつける」とは、おそらく「予算を増額する」という意味で言っているようです。
しかしながら、『骨太の方針』で謳われている「プライマリーバランス(以下、PB)の黒字化目標」を破棄しなければ、予算増額など簡単にはいきません。
与党の過半数割れを目指す野党よりも、PBの黒字化目標を破棄しないまま予算増額の話をする進次郎くんの方が余程に無責任ではないか。
予算を増やすと言うなら、その裏付け措置として「PBを破棄します」と言うべきです。
しかしながら、この御人が「PB黒字化目標の破棄」について言及したことなど一度もない。
おそらくは「緊縮財政ばかりを訴えていると票にならない…」と考え、「たまには予算を増やす話をしよう…」とでも思ったのでしょう。
もしかするとこの御人、「PBの黒字化」と「財政収支の黒字化」の違いすら理解していないのかもしれない。
さて、今回の総選挙でも、「無駄な政府支出を見直し、必ず必要なところに予算を投入します」と主張する候補者が実に多かった。
例によって、維新が典型的です。
いつも私が川崎市議会で言っていますが、「無駄」と言うのであれば、何をもって無駄なのかをまずはきちんと定義してから言ってほしい。
それに「必要なところ」とは何でしょう。
結局、この手の論理の最大の欠点は、「貨幣のプール論」に陥っていることです。
「おカネ(貨幣)は有限であり、使うためにはどこかから持ってこなければならない」という誤った貨幣観です。
残念ながら彼ら彼女らは、貨幣とは貴金属のようなその内在的価値ゆえに、おカネを交換手段として使われる「モノ」として理解しています。
モノである以上、貯めれば増え、使えば消えるに違いない、という思い込みです。
残念ながら、おカネ(貨幣)は使っても消えないし、貯めておく必要もありません。
政府も金融機関も、現実には無からおカネ(貨幣)を発行しています。
そして、誰かの支出は必ず誰かの収入であり、誰かの赤字は必ず誰かの黒字です。
まさに「カネは天下の回りもの」なのでございます。
そもそも、我が日本国は「借金大国」などではありません。
上のグラフをご覧のとおり、日本国家全体のバランスシートをみますと、政府のバランスシートは確かに赤字ですが、家計のバランスシートは黒字になっています。
もしも日本政府の赤字を減らそうとすれば、日本の家計の黒字が減っていくことになるのでございます。
ちなみに我が国は純資産国であり、その額539兆円は世界最大の規模をほこります。
こうした現実を無視して「クニにはおカネがないから節約しよう」などと寝ぼけたことを言っている候補者は、ことごとく叩き落としましょう。