レイテ沖海戦から80年

レイテ沖海戦から80年

今日から11月1日まで、自衛隊と米軍が「両軍の連携能力向上」を目的に大規模な実動演習を行います。

自衛隊が参加するのは米軍が太平洋地域で2年に一度の頻度で行っている実動演習「バリアント・シールド」で、両国合わせて約4万5000人が動員されます。

演習では、三沢基地のF35A(戦闘機)やE2D(早期警戒機)が岩国基地に展開され、あるいは四国沖や沖縄東方で行われる訓練では、岩国基地の米軍のF35B(戦闘機)、海上自衛隊のMCH101(ヘリコプター)などの機体も投入されます。

また、陸上自衛隊による基地警備訓練も行われるそうで、岩国基地に約200台、見島分屯基地には5台程度の自衛隊車両が展開する予定とのことです。

期間中には夜間の飛行も計画されているらしいので、反日反軍を旨とする左派系住民が騒ぎ出すかもしれません。

当然、演習の舞台となる岩国市は国に対して訓練による騒音や基地周辺の渋滞に配慮することなどを要請しています。

これまで米軍はこの演習を単独で行っていましたが、日本周辺などで有事が発生した際の即応体制を強化するため、初めて多国間の枠組みで行うことになりました。

各国との連携を強く示すことで抑止力を高めねばならないほどに、この地域の安全保障環境は益々厳しさを増し、覇権国としての地位を失いつつある米国の軍事力が相対的に低下しているということでしょう。

奇しくも今日(10月23日)は、あの「レイテ沖海戦」から80年を迎える節目の日です。

昭和19年の今日、フィリピンのレイテ島に上陸してきた米軍を撃退するため、帝国海軍にとって最後の総力戦となる「捷一号作戦」が発令されました。

戦艦「大和」以下の栗田艦隊をレイテ湾に突入させるにあたり、最大の障壁となったのは米海軍の機動部隊の存在でした。

そのため、南方から進撃する栗田艦隊とは反対に、北方から小沢中将の機動部隊が接近して米海軍の機動部隊を誘い出し、その隙に栗田艦隊がレイテ湾へと進撃する。

それが「捷一号作戦」の骨子でした。

しかしながら、空母機動部隊として小沢艦隊は4隻の空母を従えていたものの、艦載機の数は定数を大幅に割り込んでいました。

300機以上の艦載機を失ったミッドウェーでの敗北が誠に痛恨の極みです。

結局、小沢艦隊は囮となって「瑞鶴」「瑞鳳」「千歳」「千代田」のすべての空母を撃沈されてしまいますが、米機動部隊を誘い出すことには成功しました。

ところが、その隙をついてレイテ湾に突入するはずだった栗田艦隊は、なぜか湾には入らず反転し撤退してしまいます。

いわゆる「謎の反転」です。

栗田艦隊の反転は、「小沢艦隊からの通信が届かなかったため」と言われていますが、今もって「謎」のままです。

日本政府および日本軍は「ポツダム宣言」の受け入れを決めたと同時に全ての公文書を焼却・破棄してしまったがために、今となっては謎を解明することはほぼ不可能です。

公文書を保存しない国は、歴史を教訓にすることができません。

一方、米国はあらゆる公文書を保持し、その公文書の重要度に応じて秘匿期間を定め、後に必ず開示しています。

そうすることで、米国は一次史料に基づく歴史的検証を常に可能にしています。

もしかすると、米国側の方がすでに「謎の反転」の理由を解明しているのかもしれません。

それにつけても、レイテ沖海戦から80年という節目の日に、あえて日米合同演習を開始するところが実に米軍らしい。

これを偶然と思っているようでは日本の未来を担う政治家としては失格です。