韓国の情報機関(国家情報院)によれば、北朝鮮はウクライナと戦うロシアを支援するために特殊部隊を含む約1万2千人の派兵を決めたらしい。
10月8日から13日にかけて特殊部隊の約1500人が、まずは第一陣としてロシア極東のウラジオストクに移送されたという。
派兵された北朝鮮の兵士らはロシア極東地域での適応訓練を終えた後に前線に送り込まれるとのこと。
ロシア極東地域にいる北朝鮮の軍人ら群衆を撮った、とする衛星写真も公開されています。
それにつけても、2022年2月のロシア・ウクライナ戦争が勃発して以来、ロシア、中国、イラン、北朝鮮の4カ国の連携が明らかに強化されています。
とりわけ、ロシアと中国のパートナーシップ関係は、2014年のロシアによるクリミア併合後に一気に加速しました。
2013年から2021年にかけて、ロシアの対外貿易に占める中国の割合は10%から20%に倍増していますし、中国は兵器輸入の83%をロシアに依存するようになっています。
一昔とは異なり、いまや中国は侮れない海戦能力を有していますが、防空、対艦、対潜水艦能力などそれら能力はロシアの軍事技術に拠るところが大きい。
2023年の中国の対外貿易に占めるロシアの割合も前年比で約1.5倍に増え、ロシアによるウクライナ攻撃にも中国の技術を利用した兵器が投入されています。
中国のみならず、北朝鮮のミサイルやイランのドローン(無人機)が投入されているのは周知のとおりです。
北朝鮮はロシアに対して既に弾道ミサイルと250万個以上の弾薬を供給していますし、ロシアがウクライナ戦争に投入したイランモデルのドローンはおそらく5,000機以上に及んでいるはずです。
現在、ロシアは少なく見積もっても毎月330機のドローンを国内で生産しているようで、ドローン生産工場の新規建設計画についてもイランと協力し合っているという。
こうした、中国、イラン、北朝鮮によるロシア支援は戦場におけるロシアの立場を強化し、プーチン大統領を孤立させようとする欧米の試みを挫き、ウクライナに大きなダメージを与えているに違いない。
もちろん、これら4カ国の協力関係はウクライナ戦争以前からもありましたが、2022年2月以降のウクライナ戦争によって、政治、経済、軍事、技術的な結びつきが一気に加速したようです。
これを「反欧米の枢軸」と呼ぶ者もいます。
もしもプーチン大統領が欧州のウクライナ以外のどこかの国に一発でもミサイルを撃ち込めば、その時こそ第三次世界大戦の扉が開かれることになるでしょう。
いや、既にその扉は開かれているのかもしれず。
軍事の役割には、①存在・抑止、②即応・対処、③準備・定礎、の3つがあります。
冷戦終結後、圧倒的な軍事力を有した米国が主導する一極秩序により国際平和が保たれてきたこれまでは、我が国の防衛力は①と②に重きをおいていればよかったわけですが、もはや米国が一極秩序を形成する意思と能力を喪失している以上、③の役割が高まっています。
おそらく今後は複数の勢力圏(地域覇権)が形成されていくのではないでしょうか。
とにもかくにも地政学的な景観が大きく変わらざるを得ない以上、我が国としても次なる秩序体制への準備と定礎を怠ってはならない。