民間福祉施設への市有地の無償貸与について、なぜ川崎市だけが他都市を圧倒し突出して多いのか。
昨日のブログでお示ししたグラフのとおり、川崎市だけが平均値の8.2倍、2位の仙台市の4.4倍という異様なほどの多さとなっています。
これを私なりに分析いたしますと、平均値を上回っている4つの都市には、ある共通点があります。
その共通点とは、これら4つの都市はいずれも、かつて「革新市政」を長年にわたって経験した都市であったことです。
革新市政とは、一般的には日本共産党や旧日本社会党などのいわゆる「革新勢力」の支援によって首長となったものが行う市政のことを指します。
川崎市は伊藤・高橋の両市政で30年、横浜市は飛鳥田市政で16年、仙台市でも26年、新潟市でも15年の革新市政を経験しています。
戦後、経済的復興の途上にあった昭和40年代ごろまでの我が国では、高齢者施設の不足から施設に入所することができない貧困高齢者が急増し、それが社会問題化していました。
そうした中、とりわけ革新市政が、公有地(市有地)の無償貸与などを通じて、高齢者施設を増設するという政策を積極的に進めていったものと拝察いたします。
むろん、そのこと自体は時代背景としては正しく、理念としてはけっして間違っていなかったと思います。
しかしながら、日本経済の成長に伴い、高齢者福祉のビジネスモデルは多様化し、介護保険法等の福祉関係の法整備が為されていくなど、福祉事業者の経営基盤が安定化し充実していったにもかかわらず、とりわけ川崎市の場合、市有地の無償貸与を見直すことなく、事実上の永久的貸与となっていき、それが市職員の再就職先確保等、ある種の利権構造の一部となっていったのではないでしょうか。
つまり、川崎市では、市所有の土地で福祉施設を運営する場合には「無償貸与は当たり前、そのかわり大勢の再就職も当たり前…」という一種の持ちつ持たれつの構造が徐々に常態化していったものと推察されます。
10月4日の議会質疑でも申し上げましたとおり、本市には自らの資金で土地を確保して施設を運営されている法人があることを踏まえますと、こうした計画性をもたない無期限ともいえる市有地の無償貸与は公平性の観点からも大問題です。
では、革新市政の中でも、なぜ川崎市だけがそのようになっていったのでしょうか。
そこには川崎市だけが持つ特殊な事情があったはずです。
その特殊事情とは、同じ革新市政であっても川崎市だけが、市の職員組合あがりの市長が2代(伊藤三郎・高橋清)も続いたことだと思います。
まことに信じがたいことかもしれませんが、川崎市では組合の幹部にならなければ局長になりにくいという時代がありました。
組合あがりの市長、そして組合あがりの局長たちにより組織が牛耳られるわけですから、当然のことながら身内に甘くなるという弊害が生じます。
例えば、前理事長の横領が問題となっている社会福祉法人「母子育成会」は、9施設のうち8施設が市有地の無償貸与を受けつつ、理事のうち5人が本市職員OBで占めておりました。
当該法人に関わらず、例えば、将来自分が再就職するかもしれない法人を厳しく監査することなどできるのでしょうか。
もちろん、私は組合の存在そのものを否定するつもりは全くございません。
組合は社会の中間団体として絶対に必要な存在ですし、組合の中にも優秀な人材は大勢おられます。
ただ、組合で出世しないと役所で出世することができないとなると話は別です。
その上、市長までもが組合出身となれば、組合の、組合による、組合のための市政になってしまうのも必定です。
以上が、私の仮説です。