政府の仕事とは、日々、私たち日本国民が安全かつ豊かに暮らしていくことを保障することです。
あるいは災害などの非常事態に見舞われた際には、速やかに復旧、復興することです。
これを「安全保障」と言いますが、残念ながらこの30年間、我が国の安全保障は脅かされ続けています。
脅かしている元凶は、むろん財務省です。
例えば財務省による緊縮財政は東アジアの軍事バランスを崩し、今や我が国の防衛力では独力で人民解放軍による侵略行為を排除することができません。
また、我が国は自然災害大国であるにもかかわらず、30年ちかくにわたる緊縮財政により政府のインフラ投資(公共事業費)は激減し、防災力の弱体化も顕著です。
能登半島地震の発生により、あれだけの災害が生じているにもかかわらず、緊縮財政の観点から政府は補正予算を組まず、なんと予備費で対応しています。
これほどのクズ政府がありますか?
なおかつ、緊縮財政がデフレ対策を阻んできたことはご承知のとおりです。
そのおかげで経済の虎の子である国内供給能力(モノやサービスをつくる力)は毀損され続け、合わせて構造改革も進められたことから、国内の所得格差、資産格差が拡大し中間層が破壊されました。
いつの時代でも、中間層が破壊された社会は不安定化します。
「どうしてデフレを放置すると経済力が弱体化するのか?」について、我が国の政治家たちの認識は驚くほど無知であったことも致命的です。
世の中にはモノやサービスを生産する人と、モノやサービスを購入し消費や投資をする人がいます。
どんなにモノやサービスが生産されたところで、それをおカネを出して購入(需要)してくれる「誰か」がいなければ、この世に「所得」は創出されません。
生産=需要=所得、これが所得創出のプロセスです。
本日の国会で首班指名を受ける石破さんは「(デフレを払拭するには)もっと魅力的な商品を生産して個人消費(民需)を刺激しなければならない…」と言っていますが、魅力的な商品やサービスを生産しても売れないのがデフレなのです。
だからこそデフレ期には政府が需要を創出しなければならないのですが、そこで財務省の緊縮財政が立ちはだかるわけです。
緊縮財政は1997年からはじまりました。
この年、消費税の税率が5%に引き上げられ、公共事業の削減が開始されたのです。
それと同時に「国土計画」が無くなったことも大きい。
我が国のインフラ整備について、どこにどの程度のおカネを使うかという長期的な計画が無くなってしまったのです。
こうした計画がなくなると、それを見越してきた民間事業者もまた投資計画を立て辛くなります。
結局、1997年以降に我が国の経済はデフレに突入し、全く経済が成長しない国になってしまいました。
むろん、現在は為替相場の影響などで輸入物価が高騰し(今は少し落ち着いた)、コストプッシュ・インフレにも見舞われていますが、国内経済は依然として総需要の不足、すなわちデフレです。
石破内閣は言葉では「デフレ脱却」を叫ぶのでしょうが、残念ながら財務省の緊縮財政路線を踏襲するかぎり、石破内閣がデフレを払拭することなどできるわけがない。
ところで、「なぜ財務省は緊縮財政を省是としているのか?」と不思議に思われる方も多いのではないでしょうか。
信じがたいことかもしれませんが、財務省を牛耳る東大法学部卒業のエリートたちが「所得とは何か」「貨幣とは何か」を正しく理解できていないため、「おカネ(貨幣)は有限であり、使ったら消えてしまう」と本気で思っているからです。
貨幣は有限ではないし、使っても消えません。