最近、財務省は「日本の財政は破綻するぅ〜」というインチキプロパガンダが国民洗脳効力を失ってきたことから、「これからは金利のある世界だぁ〜」という新たなインチキプロパガンダに切り替えました。
YouTubeなどSNSの普及により、これまで騙されていた人たちが「なんだ、自国通貨建ての国債を発行する日本政府が破綻(デフォルト)することなどあり得ないのか」と、ようやく真実に気づきはじめてきた影響は大きいのでしょう。
ただ、デマが広まっていくスピードに、デマが嘘だとばれるスピードは追いつかない。
先週の火曜日に新たな自民党総裁となった石破氏が早速、記者会見で「これからは金利のある世界ですので…」と発言しています。
要するに、こういうことです。
「(日銀が政策金利を引き上げるなど)これからは金利が上がる世界なので政府の国債利払い費が増えていく、だから国民の皆さん、増税や緊縮財政が必要なんです…」
これだけでも、石破氏が財政経済を理解できていないことがよくわかります。
そもそも政策金利と国債金利はまったく別物です。
国債金利は長期金利の話で、日本政府が発行する10年債の金利(長期金利)が住宅ローンなどの固定金利の指標となっています。
一方、政策金利は短期金利の話であり、具体的には民間の金融機関が日銀に持っている当座預金の貸し借りの金利(無担保コール翌日物金利)のことです。
これを日銀が政策的に誘導しているので「政策金利」と呼ばれているわけですが、政策金利は民間の金融機関が優良企業におカネを貸し出す際の金利(短期プライムレート)の指標になります。
では、政策金利と国債金利の直近の動きを見てみましょう。
ご承知のとおり、日銀は去る7月の金融政策決定会合において「政策金利を0.25%程度に引き上げる」という追加利上げを決定しています。
それにより、民間銀行は短期プライムレートを引き上げました。
短期プライムレートが上がったことで企業の借入金利は上昇し、さらに住宅ローンの変動金利も上がりました。
しかしながら、変動金利が上がったにもかかわらず、住宅ローンの固定金利は下がっています。
8月30日、大手銀行5行は9月の住宅ローン金利について、5行ともに「固定期間10年の基準金利の引き下げ」を発表しました。
なぜなら、長期金利が低下したからです。
長期金利の低下…
あれっ? 金利の上がる世界はどこへ行ったの?
固定金利は、政府発行の10年物国債の金利(長期金利)に連動します。
上のグラフのとおり、ことし3月に日銀がYCC(イールド・カーブ・コントロール)と呼ばれる金利調整操作を終了したことにより、一旦は長期金利が上昇し、一時的に1%を上回りました。
ところが、できるだけ長期資金を高い利回りで運用したい信託銀行や保険会社が一斉に国債購入に走ったことで、国債価格は上昇し国債金利が急落したわけです。
先週の金曜日(9月27日)には、0.8%にまで低下しています。
国債の価値が上がると金利が下がるのは、今さら説明するまでもないでしょう。
このように、日銀が政策金利を引き上げたにもかかわらず、国債金利は低下したのです。
要するに、我が国の新たな総理総裁は、政策金利と国債金利の違いすらも理解できていないのです。
一般国民が騙されるのは仕方がないにしても、一国の総理となる者が財務省のインチキプロパガンダに簡単に騙されるのですから情けない。