BBCによれば、ヒズボラ(レバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織)のメンバーが使用する「ポケベル!?」のような小型通信機器数千台が各地で爆発し、民間人にも被害が及んだという。
レバノンの保健省は「少なくとも20人が死亡、450人以上が負傷した」と発表しています。
ある日突如として手にしている機器が爆発するわけですから、これまた恐ろしいテロです。
破損した小型通信機器2台が写っている未検証画像がソーシャルメディアで出回っており、機器には「GOLD」の文字、及び「AP」もしくは「AR」ではじまる型番が付いています。
このことは、台湾企業であるゴールド・アポロが機器の製造に関わっている可能性を示すとのことです。
世界のほとんどの国がそうであるように、イスラエルもまた中共が独立を認めていない台湾との正式な外交関係は持っていませんが、両国は事実上の大使館を有しており、非公式ではあるものの関係は密接らしい。
このことから「今回のテロには台湾も関与しているのか…」とも言われていますが、台湾のウェリントン・クー国防大臣は「ゴールド・アポロは攻撃に使用されたデバイスを製造しておらず、ブランド使用のライセンスを持っている会社(ブダペスト)によって製造された物だ」と述べています。
ネット上では「モサド、すげぇ…」との声もありますが、現段階においては未だ詳細はわかりません。
わかっていることは、イスラエルはヒズボラとの戦闘のために10万規模の部隊をイスラエル北部に配備中で、戦闘は着実に激化しているということです。
因みに、米国(バイデン政権)は、イスラエルとヒズボラ間で長年争われてきた国境画定のための仲介を試みているのですが、全くうまくいっていません。
なお、ヒズボラを支援しているとされるイランとイスラエルとの紛争が日々エスカレーションしていることもまた、イスラエルとヒズボラの合意交渉をより困難にしているのも事実でしょう。
イスラエルとしては「安全保障環境を変化させるにはハマスとヒズボラを壊滅させるしかない…」と考えているのでしょうから、紛争の終息にはまだまだ時間を要しそうです。
仮に米国(バイデン政権)がイスラエルとヒズボラ間の合意(国境周辺からのヒズボラの撤退を含む)を取りつけたとしても、ヒズボラとの最終決着を望む国内世論をイスラエルの指導者たちは無視できないのかもしれません。
一方、ハマスやヒズボラなどイラン系の非国家アクターは、ガザやヨルダン川西岸だけでなく中東地域全体において「権利を奪われた人々…」の間で強く支持されているわけですから、彼らがそう簡単に妥協することもないでしょう。
言うまでもなく中東地域は、歴史的、民族的、宗教的、政治的な問題が相互に複雑に絡み合う、極めて難しい事情を抱えている地域です。
少なくとも日本国民は、我が国の左翼主義者たちが主張する「憲法9条さえあれば平和だぁ〜」みたいな安全保障観など全く通用しない世界であることを理解すべきです。