公務員には、家族の看護や介護の必要性に迫られた場合、特別休暇(有給休暇)を取得することが認められています。
2020年、川崎市は国基準に準じて、コロナに関連する理由であっても特別休暇(特別休暇1号)を取得できるようにしました。
例えば、コロナ禍で保育所の登園自粛要請等により子供を持つ教員が出勤できないケースがありましたが、事前に申請すれば特別休暇を取得することができました。
むろん、そのこと自体は何ら問題ではありません。
問題は、特別休暇を不正に取得した教員が複数いたことです。
例えば、特別休暇を申請しつつ、実際には子供を保育所に預けていた教員がいたのですが、特別休暇を申請したまま、申請を取り消さずに子供を保育所に預けていた時点で不正です。
私が議会で不正取得の実態を調査するよう本市教育委員会に要請したところ、特別休暇を申請しつつ実際には子供を保育所に預けていたケースが複数あったことが確認されました。
本市教育委員会は昨年(2023年)の2月、実態をつぶさに調査した上で教職員26名の特別休暇不正取得を公表し、それぞれの不正度合いに応じて処分を下しました。
例えば、処分を下された者のなかには、本市教育委員会から給与など28万4718円の返納を求められた教員もいます。
ところが、当該教員に関しては、去る9月12日の川崎市議会で、日本共産党川崎市議団の渡辺議員が「妥当性を欠き裁量権を乱用した処分で、容認できない」と、処分の撤回を求める質問を行いました。
当該教員は2020年、「保育所の登園自粛要請に応じ、子供を自宅で世話する…」という理由で特別休暇を申請しつつ、実際には子供を保育所に預けていたわけですが、「確かに子供は預けていたけど、生徒の写真撮影などに立ち会うために3日間、数時間出勤した…」と主張し、本市教育委員会の処分を不服としているらしい。
とはいえ、私が事実関係を確認したかぎり、渡辺議員の議会での主張にはいくつかの誤認があります。
渡辺議員は「職務を全うしようと学校に出勤したのに、なぜ不参扱いにしたのか?」と本市教育委員会に迫っていましたが、「出勤していた…」といっても、当該職員はいずれの日もICカードによる出退勤情報(タイムカード)の登録をしていませんので、実際に出勤していたことを証明する物的証拠が何もありません。
ただ、「あの人は出勤していました…」という同僚や上司などのお友達証言があるだけ。
そもそも、本市の市立小中学校では出退勤情報の登録をしない教員が大勢いること自体が問題視されていました。(問題視したのは私ですが…)
それでも本市教育委員会は、例えお友達証言であっても「出勤」と認定し(本来は認めるべきではありませんが…)、その上で処分を行なっています。
次いで、渡辺議員は「当該教員は特別休暇1号を時間単位で取得できることを知らなかったし、知らされていなかった…」と主張していますが、寝言も休み休み言ってほしい。
特別休暇1号は、規則で「その都度必要と認める時間」取得できると定められています。
法律を読んでないから法律を破っても仕方がない、とでも言いたいのでしょうか。
当該職員以外にも、時間で取得している職員は大勢いますので、全体として制度が周知されていなかったということもありません。
というより、当該職員には、不正取得があった日以外には1日単位の特別休暇を取り消し、時間で取得するように修正した日があります。
つまり、不正取得とされた日についても、自分で修正することは十分に可能だったわけです。
因みに、特別休暇1号の不正取得により「不参」扱いとなり、給与の返納を求められた職員は教育委員会内で合計26名おりますが、当該職員以外は全て返納に応じています。
加えて渡辺議員は「特別休暇1号を取得した日に出勤することについては、管理職の承認を得ていた…」と言っていますが、当該教員は、特別休暇の取得日に出勤した際、管理職に「出勤したがすぐに帰る」といった旨のことを口頭で伝えただけとのことです。
ICカードの出退勤登録を修正したり、あるいは特別休暇1号の申請取消しをしたり、そうした正式な修正手続きをとっていません。
こうした正式な手続きをとることが、社会通念上の一般常識というものですよ渡辺議員!
因みに、管理職については、特別休暇中に職員が出勤していることについて、職員からの報告の有無にかかわらず、ICカードの登録修正や休暇の修正手続きを行うよう、職員に指示しなかった管理監督責任があるとして、当時の校長・教頭に「戒告」の懲戒処分が下されています。
渡辺議員は議会で「教育委員会は教員を守るべきところ…」と捨て台詞を吐いていますが、いや違うでしょ。
教育委員会の仕事は、悪しき教育から子供を守ることです。