自民党総裁選に話題を独り占めされぬよう必死な立憲民主党ですが、代表選候補の顔ぶれを拝見しますと自民党に負けず劣らず人材不足感は拭えない。
きのう(9月9日)、立憲民主党は党員・サポーターの質問に答える形式で4人の候補者による公開討論会を行いました。
その一部が報道されていましたが、「政権交代した場合に、方針転換したい政策は何か」という党員・サポーターからの質問に対して、4人の候補者はそれぞれ次のように答えていました。
報道で見たままを紹介します。
泉 氏:「今の自民党は立憲民主党の政策をパクっている。今もなお政策活動費を使っているのに、廃止する、と主張している議員がいることはけしからない。本気の政治改革をする」
枝野氏:「政治の方向性を変えることが政権交代の意義。例えば、日本学術会議のメンバーから恣意的に人が外されたことがあったが、閣議決定で変更すればいい」
野田氏:「政治資金規正法を正す。政治資金のルールは勝手に与党だけで決めてはいけない。プロセスに間違いがあり、やり直せと言いたい」
吉田氏:「家族に関しとても大事な共同親権のあり方をもう一度、議論すべき。子どもの権利に立った議論をもう一度したい」
私の個人的印象では、政権交代の大義としてはどれも随分とピンボケした発言で、誠に驚くほかなかったのですが、これを報道したのはテレビのニュース番組でしたので、おそらく前後の発言がだいぶカットされているのだと推察します。
もしかすると、4人の候補者はもっと立派な大義を掲げていたのかもしれません。
むろん、所詮は野党の代表選挙ですから仕方のないことかもしれませんが、もしもメディアが恣意的に矮小化したのであれば、悪質な報道と言わざるをえません。
もしも悪質な報道ではなく、4人の候補者の主張が、それ以上それ以下のものでなかったとすれば、4人とも政治家としてあまりにもお粗末すぎます。
小選挙区制の導入によって国会議員の劣化が進んでいることは承知しておりますが、ここまでの劣化とは恐れ入ります。
もちろん彼ら彼女らが言う、政治資金、学術会議、共同親権、どれも大切な政治課題です。
神は細部に宿るのですから、とことん改善してほしい。
ただ、野党の代表選とはいえ、一国の総理を目指す以上は、まず第一に自らの国家観を私たち国民に示すべきではないのか。
その上で、経世済民を追求するための具体的な政策を説得力と感化力を持って国民に訴えかけなければなりません。
少なくとも次の総理は、トランプ、プーチン、習近平らの海千山千の怪物たちと渡り合っていかねばならないのです。
その中で我が国の「平和」と「独立」を追求し、貧困化した日本国民を再び豊かにしていかねばならない。
平和と独立を追求し、国民を豊かにする、それが経世済民です。
ただし残念ながら、「平和の追求」と「独立の追求」はある意味でトレードオフの関係にあります。
平和を追求すれば独立が損なわれ、独立を追求すれば平和が損なわれる。
その相剋と矛盾をいかにして克服し乗り越えていくためにこそ、明確な国家ビジョン(国家観)が必要なのです。
国民を再び豊かにするにもまた、経済財政政策の大きなパラダイムシフト(例えば、政府の赤字は悪でなく善)が求められます。
それを分かりやすくメディアや国民に説明できる知識と能力を兼ね備えた人物でなければ困ります。
このように考えますと、絶望しかない。