なるせゆうせい監督の社会派青春映画『君たちはまだ長いトンネルの中』が、期間限定で『YouTube』で無料公開されています。
未だ鑑賞されておられない方々には、ぜひお勧めです。
これを観れば、小難しい経済書などを読まなくとも、デフレ経済や我が国の財政問題の本質について正しく知ることができます。
また、この映画では、「正しいこと」がなかなか世間に理解されないもどかしさもうまく表現されています。
出演された俳優さんたちも、セリフを覚えるのが大変だったろうと思います。
因みにこの映画は、ハンブルグ国際映画祭2023において観客から最も多くの票を得た「観客賞」を獲得してます。
我が国では1995年以来、財務省が主導する「財政破綻論」の擦り込み洗脳が、多くの人々に「増税やむなし」「緊縮財政やむなし」の理論を今なお正当化させています。
1997年には消費税の増税(税率3%→5%)が決行され本格的な緊縮財政(財政収支の縮小均衡)がはじまり、日本経済はデフレという長いトンネルに突入し、未だその出口を見出すことが出来ず、映画のタイトルのように私たちは長いトンネルの中にいます。
しかも最悪なことに、デフレを脱却できないまま、日本経済は輸入物価の高騰という外的要因と、少子化による人手不足という内的要因によってコストプッシュ型インフレにも見舞われています。
コストプッシュによる物価上昇に対して賃金の上昇が追いついていかず、実質賃金は下がり続けています。
上のグラフのとおり、26か月連続で前年比マイナスを続けた「現金給与総額」は、賞与が前倒しで支給された企業が多かったことから、6月はかろうじてプラス化しましたが、基本給など「きまって支給する給与」については依然として前年比マイナスで、2022年2月以来、29か月連続のマイナスとなっています。
実質賃金の低下は、国民の貧困化を意味します。
つまり、デフレとは国民の貧困化であるとともに、供給能力が毀損されていくことから国の発展途上国化をも意味します。
デフレであれ、コストプッシュ型インフレであれ、これらを克服するのは、政府支出の拡大を前提とした産業政策しかありません。
それが判っているのに、残念ながら現実の政治は具現化してくれません。
こんな日本に誰がした?
映画『君たちはまだ長いトンネルの中』を観れば、お解り頂けるものと存じます。
ちなみに現在、なるせ監督の最新映画『威風堂々~奨学金って言い方やめてもらっていいですか?~』も上映されています。
こちらもぜひご覧ください。