岸田総理が9月に予定されている自民党総裁選への不出馬を表明しました。
事実上の辞任表明です。
総理に就任して早々、「新自由主義からの脱却…」を表明した岸田さんでしたが、結局は全く脱却できず、それどころかむしろ新自由化路線を強化し、デフレを長期化・深刻化させる政策ばかりを行ってきました。
最初は「所得倍増」を掲げていたのに、それがいつの間にか「資産倍増」にすり替わり、実体経済よりも金融経済を優先するという、まさに新自由主義路線を突き進み、しかも財政や税制については財務省様の言いなり内閣へと成り果てました。
結果、岸田総理は「最も実質賃金を下げた総理…」として歴史に名を遺すことになってしまいました。
上のグラフのとおり、実質賃金(現金給与総額)は2022年4月以来26ヶ月連続で下落したわけですが、これはあのリーマン・ショック時の不況を超え、戦後最長です。
因みに、6月の速報値でプラス化していますが、賞与が含まれない「きまって支給する給与」については未だマイナスです。
これは7月の賞与を6月に前倒しして支給する企業が増えたために、統計上、6月がプラスに転じただけです。
こうした時節的な特殊事情を取り除いた「季節調整値」でみると、おそらく「現金給与総額」は未だマイナスが続いているものと推察されます。
すなわち、7月に支給される予定ものが6月に前倒しで支給された分、7月の現金給与総額が再び落ち込む可能性は高い。
そもそも実質賃金が上がる要素がない。
振り返ってみますと、岸田内閣により断行された国民負担増となる政策は、インボイス制度の導入、子育て支援金として公的保険料増、森林環境税、介護保険料の引き上げ、後期高齢者の医療費負担増などがありましたが、たとえ岸田内閣が退陣しても今後も更なる国民負担増メニューが用意されています。
・復興特別所得税の期間延長
・防衛費増額のための所得税増税
・防衛費増額のためタバコ税増税
・防衛費増額のための法人税増税
・給与所得控除の廃止
・配偶者控除の廃止
・退職金控除の廃止
・厚生遺族年金の廃止
・国民健康保険納付期間の延長
・生前贈与の持ち戻し期間の延長
・厚生年金第3号被保険者制度の見直し
この他にも例えば、車種や使用目的に関係なく実際に走行した距離に応じて課税する、という新しい自動車税(走行距離税)も財務省は検討しています。
岸田さんの総裁選不出馬表明を受けて、何人かの自民党議員の名前が総裁候補として挙がっていますが、どの名前をみても財務省と闘ってくれそうな人はいません。
結局は、財務省の言いなり内閣になるのがオチでしょう。
むかし陸軍、いま財務省。
国民に選ばれた政治家が何もできないのは、今も昔も同じです。