昨年の秋以来、石炭価格が世界市場で上昇しています。
価格高騰の理由の第一は、世界の石炭供給量の半分を生産し消費している中国に端を発しているようです。
中国経済はコロナ禍に伴う不況からいち早く脱したことになっていますが、むろん、どこもまで本当なのかは信じがたいところです。
なお、中国では死者が発生する炭鉱事故が多発しており、当局による石炭部門への安全性検査が厳格化しているとのことです。
加えて、アジア地域では夏季需要が急増しつつ、中国やインドネシアなど主要産炭地での供給減少が続くことから石炭価格は引き続き高値圏で推移しそうです。
そこで我が国において特に懸念されるのが電力供給です。
現在、原子力発電所の稼働率を15.5%(2020年)に抑制している我が国では、発電の7割を火力発電に依存しています。
火力発電のエネルギーは、石油、石炭、液化天然ガスの3つです。
石炭のみならず石油の価格も上昇ていることから、連動して液化天然ガスの需給逼迫も十分に想定されるところです。
夏場の電力需要が想定以上に高まるような事態になれば、ブラックアウト(広域停電)の可能性が高まります。
現に今年の1月、寒波に襲われた関西では電力需要が98%を超え、関西電力はあともう少しでブラックアウトに陥るところでした。
資源エネルギー庁も、今年の夏(8月)は全国7エリア(東北、東京、中部、北陸、関西、中国、四国)で最大需要発生時の予備率が3.8%と見込んでいて「2017年度以降で最も厳しい夏になる」と警鐘を鳴らしています。