忍び寄る巨大地震

忍び寄る巨大地震

きのう(8月8日)、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生しました。

これを受け気象庁は、南海トラフ地震の発生可能性が相対的に高まっているとして、初めて「臨時情報(巨大地震注意)」を発表しました。

今回の地震と南海トラフ地震との関連性について検討したところ、南海トラフ地震の想定震源域では大規模地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっているとのこと。

ゆえに気象庁は「政府や自治体などからの呼びかけ等に応じた防災対応をとってください」と注意を促しています。

要するに「南海トラフがそろそろヤバいから、各自、地震に備えよ…」と言っているわけです。

これまで南海トラフ地震の発生確率については…

・10年以内で30%程度

・30年以内で70〜80%程度

・40年以内で90%程度

…とされてきましたが、1854年(江戸時代末期)に安政大震災が起きたとき、その約100年後となる1944年、1946年に東海、東南海地震が起きています。

そのさらに100年後となると2040年頃になりますので、その意味では「今この瞬間に発生してもおかしくない状況にある」と考えていい。

南海トラフ地震の想定震度分布をみますと、やはり最も大きな被害を受けると想定できるのは静岡県、愛知県です。

さらには、紀伊半島、四国の南部、あるいは九州の東部においても地震そのもので大きな被害を受けることになります。

とりわけ、南海トラフ地震の最悪の被害は「津波」です。

東日本大震災は今も記憶に新しい大震災でしたが、例えば宮城県の仙台市などは地震そのもので崩壊したわけではありません。

仙台市に甚大な被害をもたらしたのは津波です。

その津波がどのような形で想定されているかというと、伊豆半島では20メートルを超えるだろうと言われています。

20メートルといえば、まさに東日本大震災級です。

しかしながら、東日本大震災と南海トラフ地震の違いは、津波が押し寄せる範囲が半端なく広いということです。

九州南部から関東付近まで、10メートル以上の津波が押し寄せる可能性があります。

たかが10メートルと思われる人もおられるでしょうが、10メートルの津波でも途轍もない大被害をもたらします。

さらには大阪湾などにも侵入し、5メートルの津波が襲いかかります。

あるいは名古屋市もそうです。

例えば大阪については、大阪城の付近は台地でもともと土地の場所が高いので、あの付近は大丈夫なのですが(だからこそ織田信長はあそこに城を建てようとし、それを秀吉がパクった)、あの付近以外は全部沈むのではないかと言われています。

名古屋市は、名古屋駅から南は全滅するのでは、と言われています。

実際に東日本大震災では30メートル級の津波もありましたが、これが20メートルでも10メートルでも被害は同様です。

人間は、わずか50センチの津波でも吹き飛びますので。

なぜなら、津波は「波」ではないからです。

波とは異なり、水がそのまま一気に押し寄せてくるため、その勢いに人間も建物も耐えられません。

南海トラフ地震や首都直下型地震が発生した場合、その後20年かけて元に戻るという想定において「どの程度の損失、損害が出るのか?」という予測があります。

それによると、南海トラフ地震は1,410兆円、首都直下型地震は778兆円です。

もしも同時に発生すれば、約2,000兆円の損失ということか。

この30年間、我が国では「公共事業は無駄だぁ〜」などの自虐財政主義が蔓延り、国土を強靭化することを怠ってきました。

そのツケが国難というかたちで返ってきます。