8月に入り、スーパーや小売店ではさらに値上げとなる商品がでてきました。
とりわけ、小麦粉関係の商品に関しては約10%、チョコレート関連も約10〜15%の値上げとなり、帝国データバンクによると値上げ品目は642品目に及んでいます。
むろん、上がるのは物価ばかりでお給料は上がらない。
なんといっても、実質賃金は史上初となる26ヶ月連続で下落中です。
この分だと、更なる連続記録を更新しそうです。
現在の物価上昇は、景気が良くなってモノやサービスが売れ過ぎる「デマンドプル型」ではなく、為替安(円安)による輸入物価の高騰という「コストプッシュ型」です。
この場合、政府が財政支出を拡大して値上がりを抑制するか、もしくは所得を補助しなければならないのですが、現在の日本政府の財布の紐は緊縮至上主義の財務省様によって握られており、それが不可能になっています。
ゆえに、その代替措置として日銀に利上げをさせることで(日米の金利差を縮小させることで)、高騰する輸入物価を抑制しようとしています。
植田日銀総裁も「そのことが政策判断の一つだった…」とお認めになっています。
結果、今回の利上げ決定により、4ヶ月ぶりに円高に振れたようですが当然のことながら副作用もでています。
まず、株価が下落。
我が国においては、金利が上がると株価が下がるカラクリは以下のとおりです。
日本の株式市場では、上のグラフのとおり外国人投資家の株価保有率は3割程度なのですが、市場取引の7割程度を彼らが動かしています。
外国人投資家にとっては、円安だと割安感により「買い」、円高だと割高感により「売り」という取引行為になるからです。
株価が必ずしも景気と連動していない理由の一つはこのためです。
なにより相場は、思惑や期待で動くものですから。
むろん、利上げの影響は為替や株価に留まりません。
利上げによって預貯金の利息が多少は増えそうですが、それよりもマイナスの影響のほうが大きくなりそうです。
例えば、住宅ローン。
今回の利上げにより、短期プライムレートが引き上げられることになります。
短期プライムレートとは、金融機関が最も信用力が高いとされる優良企業に対して短期資金を貸し出す際の金利を指します。
すなわち、優良企業に対してでさえ金利が高くなるわけですから、優良でない企業に対してはもっと高くなります。
なお、短期プライムレートは個人が借りる「住宅ローン金利(変動型)」の指標にもなっていますので、今回の利上げによって住宅ローン金利も上昇します。
よって変動型で住宅ローンを組んでいる場合、その返済負担は大きくなります。
これから住宅ローンを組む方々のなかには、その回避策として固定金利と変動金利を組み合わせた「ミックスローン」を検討する人たちもおられるようです。
とはいえ、金利が上がろうが、物価が上がろうが、日本国民の実質所得が着実に増えていくのであれば何の問題もありません。
大問題なのは、日本の政治が、究極の目的である経世済民(国民の安全を守り、所得を増やして豊かにすること)を全く追求することなく蔑ろにしていることです。