ドイツのアンゲラ・メルケル首相が、先月22日に2回目のコロナワクチンを接種しました。
既に首相は4月の段階で1回目の接種を終えており、2ヶ月ちかくもの間隔を空けて接種されたことにも驚きましたが、興味深いのは、1回目と2回目でそれぞれ異なるメーカーのワクチンを接種されたことです。
1回目はアストラゼネカ製を接種し、2回目はモデルナ製を接種したらしい。
アストラゼネカ製ワクチンについては接種後に血栓の報告が相次いだことからドイツなど各国が使用を一時中止していたために、首相は他社製のワクチンを接種することになったものと推察します。
ただしその後、ドイツでは60歳以上の人たちに限って使用を再開し、現在では成人全員に提供されているようです。
これまで、メーカーの異なるワクチンを接種することについては、「安全だ」と言い切るには時期尚早とされてきましたが、このたび英国での新たな研究によって1回目と2回目で異なるメーカーが製造したワクチンを使った場合も予防効果が得られるとの結果が報告されています。
今回の研究では、ファイザー製もしくはアストラゼネカ製のワクチンを2回接種した人と、両方のワクチンを1回ずつ接種した人について調べたところ、結果、すべての組み合わせで充分に免疫がつくられ機能していることが確認されたという。
なお、アストラゼネカ製の後にファイザー製を打った場合には、ファイザー製の後にアストラゼネカ製を接種した場合よりも抗体とT細胞が活発化したという報告もされています。
前記の2通りの接種はアストラゼネカ製の2回接種よりも抗体が増し、ファイザー製を2回接種した人の抗体の反応が最も強かったという。
当該研究での筆頭研究者であるマシュー・スネイプ教授(オックスフォード大学)によると「8~12週の間隔を空けて接種されればデルタ変異株にも有効だ」とのことで、また同教授は「間隔は長いほうが、よりよい免疫反応が得られるとわかっている」とも述べています。
さらに今回、12週間の間隔を空けて別々のワクチンを打つ調査研究も実施されており、その結果は来月に公表される予定です。
さて、一昨日、NHKがワクチン接種実施主体である自治体の苦悩を描く番組を放映していました。
取材の対象となっていたのは埼玉県庁で、63の市町村を抱える埼玉県庁のワクチンチームが国と市町村との板挟み状態となって翻弄する姿が印象的でした。
むろんそれは埼玉県だけの問題でなく、私の住む神奈川県など各都道府県も同じ状況にあります。
現場が混乱する根本原因について番組として踏み込むことはありませんでしたが、私に言わせれば、そもそも国が各自治体に対して「個別接種方式」を認めたことが最大の間違いです。
はじめから各自治体に対し「集団接種会場」のみで実施するように指導してさえいれば、現在のように人員や物資が分散されたり余計な時間を費やしたりすることもなく、あまつさえ接種業務の様々なリスクも軽減され安全性が高まっていたはずです。
その意味で、マスコミが囃し立てた「練馬モデル」の罪は大きい。