内閣府に設置されている『経済財政諮問会議』は、経済財政政策について有識者等の優れた識見や知識を活用しつつ、内閣総理大臣のリーダーシップを十全に発揮することを目的に設置されているらしい。
なるほど、例えば「骨太の方針」のように、政府が進める経済財政政策に関する重要事項は、この会議体で決められています。
これから岸田内閣は年末にむけて来年度予算案を編成していきますが、その編成にあたっては「骨太の方針2024」で謳われた内容がベースになります。
ご承知のとおり、去る6月に閣議決定された「骨太の方針2024」では、「骨太の方針2015」で示された、いわゆる「333規制」が依然として盛り込まれ残っています。
333規制とは…
①「骨太の方針2015」の25ページ
国の一般歳出の水準の目安については、安倍内閣のこれまでの3年間の取組では一般歳出の総額の実質的な増加が1.6兆円程度となっていること、経済・物価動向等を踏まえ、その基調を2018年度まで継続させていくこととする…
②「骨太の方針2015」の30ページ
これまで3年間の経済再生や改革の成果と合わせ、社会保障関係費の実質的な増加が高齢化による増加分に相当する伸び(1.5兆円程度)となっていること、経済・物価動向等を踏まえ、その基調を2018年度まで継続していくことを目安とし…
①と②が盛り込まれていることによって、政府の社会保障費を除く一般歳出の伸び率は「毎年333億円まで…」という縛り(上限キャップ)がかけられています。
(約1.6兆円ー約1.5兆円=約1000億円、約1000億円÷3年=年間約333億円)
この「333規制」が「骨太の方針2024」でも継続され、今なお上限キャップとされているのでございます。
岸田内閣が増税や社会保険料等の引き上げを目論んでいるのは、もちろんそのためです。
因みに、PB黒字化目標もまた、依然として「骨太の方針2024」で謳われています。
どう考えても、333規制やPB黒字化目標があるかぎり、デフレ経済を払拭することなど不可能です。
さて、『経済財政諮問会議』のメンバーをみますと、有識者と呼ばれる人たちの中には明らかに「ネオリベラリスト」と思われる人物が顔を連ねています。
その中には、たしかにこのデフレ不況のなかで立派に業績を上げておられる企業経営者もおられます。
ですが、だからといってこの種の人たちが国を豊かにするためのマクロ経済政策についての見識を持っているかどうかは別です。
そもそも、デフレの中で成功した経営論から、デフレを払拭するためのマクロ経済理論を導き出すことなどできるのか。
デフレビジネスで成功したということは、要するに人件費を削減しまくって安売り競争に勝ち抜いた経営者であるか、あるいはデフレ下では全体のパイ(需要)が増えないため、規制緩和等を活用して人様の需要(ビジネス)を略奪することに長けている経営者であるかのどちらかです。
国家のマクロ経済政策を、一企業の経営というミクロの論理などで判断されてはたまらない。