きのう(7月19日)、総務省から直近(6月)の消費者物価指数が発表されました。
まず、総合指数(CPI)は2020年を100として108.2、前年同月比で2.8%の上昇。
次いで、生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)は107.8、前年同月比で2.6%の上昇。
生鮮食品(種類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は106.6、前年同月比で1.9%の上昇となりました。
因みに、上のグラフは、コアCPIとコアコアCPIの時系列データを表示しています。
なお、ここでいう「コアコアCPI」とは、米国のコアCPI(食品及びエネルギーを除く総合指数)とほぼ同じです。
欧州のコアCPIも、食料品、エネルギー、アルコール、たばこを除いたCPIになっています。
即ち、欧米には日本のような「コアコア」などという指標はないのでございます。
それがグローバルスタンダードだからです。
ところが、なぜか日本では「コアCPI」は「生鮮食品だけを除くCPI」になっています。
生鮮食品だけ除いても意味がない。
外国から輸入する食料とエネルギーも除かなければ、国内のインフレ率を正確に把握することはできないはずです。
それで、たしか2017年に総務省が「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」の発表を始めるに至り、「これがコアコアCPIです…」となった経緯があります。
さて、上昇を続けてきたCPI(総合指数)ですが、ここのところ2%台に落ち着いてきました。
食料品価格が昨年9月をピークに下がり続けており、政府が光熱費等を支援してきたことも影響しているのではないでしょうか。
ただ、コストプッシュによる物価上昇は各種の要因で下がるかもしれませんが、供給能力の毀損による、いわゆる「サプライロス型の物価上昇」はそうはいきません。
とりわけ、ことし4月からは、働き方改革に伴う残業規制が強化されており、人手不足がさらに深刻化しています。
ゆえに今度は人件費が要因となって物価上昇率のプラスが続くものと思われます。
物価上昇とは、私たち国民が保有している銀行預金の実質的な価値が下がっていくことを意味しています。
例えば、年率3%の物価上昇が10年間続くと、実質的な銀行預金の価値は26%も目減りすることになります。
むろん、銀行預金の実質的な目減りは投資や消費を拡大することにもなりますが、賃金の上昇が物価の上昇に追いつくことの出来ない状況が続いているなかでは、国民の貧困化は避けられません。