ユーラシアプレート、太平洋プレート、北米プレート、フィリピン海プレート、以上4つのプレートがせめぎ合う我が国の国土は、言わずもがな地震のメッカです。
現に、世界で発生する地震の10〜15%は日本で発生しています。
マグニチュード6.0以上の地震に絞れば20%が我が国で発生しています。
このことは、私たち日本国民が受け入れなければならない地理的宿命でもあります。
さて、2020年1月24日時点において、30年以内に首都直下地震(マグニチュード7.0程度)が発生する確率は70%程度と予測されている一方、首都直下型地震とともに発生確立が高いとされている南海トラフ地震の発生確率は、10年以内で30%程度、30年以内で70〜80%程度、40年以内で90%程度、40年で90%です。
「30年とか40年とか言われてもスパンが長すぎるぅ〜」と思われる方々がおられるかもしれませんが、何万年単位で調査研究されている地震学の世界では30年や40年は極めてピンポイントな予測です。
南海トラフ地震とは、駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界を震源域として概ね100~150年間隔で繰り返し発生してきた大規模地震を指しますが、前回の南海トラフ地震(昭和東南海地震及び昭和南海地震)が発生してから既に70年以上が経過していることから、次の南海トラフ地震発生の切迫性が高まっているわけです。
気象庁の資料から、南海トラフ地震の「震度分布」をみますと、最も大きな被害を受けると想定されるのは静岡県と愛知県です。
次いで紀伊半島、四国の南部、九州の東部、これらの地域は地震そのもので大きな被害を受けることになります。
地震そのものもさることながら、南海トラフ地震の最悪の被害は津波です。
2011年3月11日の東日本大震災の際、仙台市の街は地震そのもので崩壊したわけではなく、その大部分は津波で崩壊してしまいました。
その津波が、南海トラフ地震ではどのような形で想定されているのかというと、伊豆半島では20メートルを超えるらしい。
九州南部から関東付近に至っては10メートル以上の津波が押し寄せるとのことですが、10メートルの津波であっても途轍もなく大きな被害です。
このように、南海トラフ地震が東日本大震災と大きく異なるのは、津波が国土に押し寄せる範囲が比べようもなく広いという点です。
人間は、わずか50センチの津波でも簡単に吹き飛ばされてしまいます。
なぜなら、津波は波ではないからです。
波と言っても水がそのまま巨大な壁と化して一気に押し寄せてくるため、その勢いに人間も建物も耐えられません。
ゆえに、そうした被害を最小化するための防災インフラの整備が必要ですし、復興復旧を迅速化するための国内供給能力の強化が必要です。
しかしながら今の日本では、財政破綻論に基づく緊縮財政が防災インフラの整備を阻み、緊縮財政に基づくデフレの長期化が国内供給能力を毀損し続けています。
因みに、この27年間、我が国は土木業や建設業などの供給能力を毀損し続けてきたため、南海トラフ地震で発生した瓦礫を処理するだけでも、もしかすると数十年を要するかもしれません。
国力とは、国内供給能力そのものです。