7月5日、総務省から5月の『家計調査』が発表されています。
2人以上世帯の消費支出は29万328円となり、物価変動の影響を除いた実質値で前年同月比1.8%のマイナスとなりました。
日本経済新聞社は「マイナスは2カ月ぶり」と呑気に報道していますが、ことし4月のプラス0.5は前年同月(2023年4月)がマイナス4.0であったことの反動によって僅かにプラス化したにすぎず、上のグラフのとおり惨憺たるマイナスの連続です。
現在の我が国は、実質賃金に加えて実質消費もまた大幅な下落が続いています。
輸入物価上昇に起因したコストプッシュ・インフレと総需要不足のデフレ経済が混成していることにより、賃金上昇が物価上昇に追いつかず実質賃金は減り、結果的に国民は消費の量を減らしているわけです。
賃金が減っているのですから、それに合わせて消費も減るのは当然といえば当然の結果です。
さて、消費支出の中身を見ますと、大幅に(対前年比で)減ったのは、「光熱・水道(-9.7%)」「家具・家事用品(-10.4%)」でした。
むろん、食料もマイナス2.5%となっており、国民は食べる量を減らし続けています。
光熱費への支出が大幅に減ったのは、5月は気候的に過ごしやすい時期であったことも一つの要因でしょう。
ですが、川崎市も今日は30度を超える茹だるような暑さとなりますが、7月、8月はどうしても光熱費の負担を増やさざるを得ない分、ほかの消費を抑制せざるを得なくなり消費生活を圧迫するのは必定です。
目の前の電気代を支払うために、ほかの消費、あるいは教育など将来のための投資を減らさねばならない、という哀しい現実です。
よって、とにもかくにも実質賃金を上昇させることが喫緊の課題です。
実質賃金は「生産性」と「労働分配率」で決定されます。
そこに外部から影響を与えるのが「消費税」と「輸入物価上昇」です。
であるからこそ、政府が採るべき政策は、まずは消費税の廃止であり、さらには輸入物価上昇の影響を緩和するための財政政策です。
国民の可処分所得を拡大させ、実質消費が安定的に増えていく環境を取り戻すことが何よりも重要なのでございます。
それに成功すれば、必ずや企業は労働分配率を引き上げてでも人を雇おうとするでしょう。
消費税廃止と財政支出の拡大が今ほど望まれる局面はありません。