東京都知事選は、本日で5日目を迎えています。
7月7日の投開票日にむけ、各候補者がそれぞれの政策や政治信条を力強く訴え続けていることでしょう。
メディアの多くは、この選挙戦の最大の争点を「現職知事の都政運営への評価」としていますが、はたしてどうか。
政治的にみれば確かにそうかもしれませんが、政策的にみれば、現在の東京都政が抱える最大の課題といえば、なんといっても「関東大震災の再来への備え」ではないでしょうか。
すなわち、東京直下地震、あるいは南海トラフ地震が東京や関東を襲ったとき、これこそ国家壊滅級の事態であり、多くの東京都民の生死にも関わります。
なぜ国家壊滅級の危機に直面するのかといえば、それは東京という一極にあらゆる機能が集中しているからです。
東京一極集中問題は災害に脆弱というだけでなく、地方の衰退と裏表の問題ということもあり、もうかれこれ30年以上も前から問題視されてはいたものの、これまで一向に解消されませんでした。
というより、昨今では「地方の衰退」を是認するかのような議論がやたらと多い。
「これからの日本は人口が減少するんだから、過疎化した地方から大都市へと人々を移住させるべきだ…」みたいな。
4月に開かれた財政制度等審議会の分科会でも「能登半島地震の復興は、人口が減少局面にあることから、需要減少や維持コストも念頭に集約的なまちづくりを行うべきだ」という提言が為されています。
要するに、人口が減少しているから完全な回復を目指す必要なんてない、と。
しかしながら、これこそが典型的な「地方(過疎地)切り捨て!」の論理です。
おわかりでしょうか、過疎地切り捨ての論理こそ東京一極集中是認の論理そのものです。
現在、東京には総人口の約11%が集中しています。
例えば、ドイツの首都ベルリンにはどれくらいの人口が集中しているでしょうか。
4〜5%です。
フランスの首都パリに至っては、総人口の3.2%です。
なお、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県、いわゆる首都圏への集中度となると、なんと30%を超えてしまいます。
これほど巨大となったメガロポリスに首都直下地震が襲いかかったらどうなるのか、ということを世界中の専門家が注目しているほどです。
因みに、1923年に発生した「関東大震災」の際の首都圏の人口割合は、13.7%でした。
事の深刻さがおわかり頂けるものと思います。
にもかかわらず、川崎市などは「人口の多さが街の発展につながる」という発想に基づいて行政を行っています。
お〇〇さんでしょ。
ゆえに、過疎化した地方を発展させるためにも、そして首都圏への人口集中を解消するためにも、我が国には均衡ある国土の発展と人口分散が必要なのでございます。
今回の東京都知事選挙でも、来年予定の川崎市長選挙でも、当該問題が争点の一つにならなければおかしい。
というか、もはや議論している場合でもないのですが…