骨太の方針2024、閣議決定

骨太の方針2024、閣議決定

きのう、『骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)2024』が閣議決定されました。

因みに閣議決定とは、内閣総理大臣およびその他の国務大臣をもって構成する合議体たる内閣の会議(閣議)において、内閣の権限事項を決定することです。

権限事項とは、憲法や法律が内閣の意思決定を当然必要としている事項、例えば国会に提出する法律案や政令の決定は例外なく閣議決定の対象となります。

また、法令上の根拠がなくとも、重要な政策に関する事項は閣議決定で決められます。

内閣がその職権を行うのは閣議によるのでございます。(内閣法第4条)

さて、骨太の方針の最大のポイントともいえる「財政健全化目標」についてですが、下馬評どおり、財政健全化の「旗」を下ろさず、これまでの目標に取り組み、2025年度の国・地方PB黒字化を目指すことになりました。

といって、来年度のPB(基礎的財政収支)の黒字化なんて現実的にできるわけもなく、また、できるとしても絶対にやるべきではない話です。

ただ、今回の骨太の方針には、いわゆる積極財政派による政治的な巻き返しとみられる文言も入っています。

「(財政健全化に取り組むけれども)債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指し、経済再生と財政健全化を両立させる」「(経済あっての財政なのだから)状況に応じたマクロ経済政策の選択肢が歪められてはならない」

ここで言う「マクロ経済政策の選択肢…」というのは、財政支出の拡大と理解していい。

なお『骨太の方針2024』では、物価高対策として電気・ガス代の補助や年金世帯への給付金支給をも掲げていることから、日本経済新聞は「政府の歳出改革は一貫性を欠く」と皮肉っています。

日本経済新聞が言うように、財政規律については玉虫色になったのなら、それはそれでいい。

玉虫色にすることで、やがては積極財政に転じる可能性を残したことになるからです。

また、「マクロ経済政策の選択肢…」には、政府の収支だけをみてその均衡を目指すのではなく、民間部門の貯蓄と投資のバランスをも考慮して財政支出を調整せよ、という意味合いもあります。

民間部門、とりわけ企業の対GDP比貯蓄率が高ければ、それを引き下げるほどの財政支出が必要ですし、企業投資が盛んになってその対GDP比貯蓄率がマイナスになれば、今度は政府支出を引き締めなければなりません。

正しい経済財政政策とは、マクロ経済全体から政府収支を考えることが必須です。

財務省を中心とする緊縮財政派の最大の欠点は、民間部門の貯蓄率などマクロの経済情勢を無視し、常に政府収支だけを見ることしかできないところです。