本当はもっと大きいデフレギャップ

本当はもっと大きいデフレギャップ

きのう政府から「需給ギャップ」が発表されました。

需給ギャップ(GDPギャップ)とは、日本経済の供給能力と需要(実需)の差です。

発表によれば、2024年第1四半期(1〜3月期)は、マイナス1.0%とのこと。

結局、速報段階のマイナス1.1%とほぼ変わらず、3四半期連続のマイナスとなりました。

需給ギャップがマイナスということは、需要不足(デフレ)ということです。

というか、2020年以降、プラスに転じたのは2023年第2四半期のプラス0.7という一回だけで、あとは悉くマイナスが続いています。

にもかかわらず、政府や日銀が発表する景気判断はいつも「景気は緩やかに回復しつつある…」とか「デフレは払拭されつつある…」みたいに表現されます。

実に馬鹿げています。

あまつさえ、政府は竹中某が閣僚であったとき、彼の差し金でデフレギャップがより小さくみえるように統計方法が変更されています。

それまでの統計では、潜在供給能力を「最大概念」で計算していたのですが、竹中某以降は「平均概念」で計算されることになりました。

平均概念とは、要するに「過去平均」ということです。

例えば、陸上競技のウサイン・ボルト選手は100メートル9.58秒の世界記録を持っています。

仮に、今でも本気を出せば9.7秒台で走れるとします。

この場合、ウサイン・ボルト選手の潜在能力は「100メートルを9.7秒台(で走ることが可能)」ということになります。

これが最大概念です。

一方、ウサイン・ボルト選手の100メートル走の過去の記録を全て足し合わせ、それを試合数で割ったものが過去平均となりますので、これが平均概念です。

いかにウサイン・ボルト選手とはいえ、過去平均は少なくとも9.7秒台にはならないはずで、おそらくは10秒台になるのではないでしょうか。

このように過去平均を潜在能力としてしまうと、選手の潜在能力はより低く設定されてしまうのでございます。

要するに、受給ギャップの場合、デフレで需要が減り続けるほどに、潜在供給能力も合わせて減り続けることになりデフレギャップが小さくみえるわけです。

本来、最大概念の潜在供給能力とは、現在の日本企業の生産設備が全てフル稼働し、労働力もフル稼働した場合の供給能力のことです。

現在の日本経済の供給能力を「最大概念の供給能力」で計算した場合、おそらく需給ギャップは今の政府発表の何倍にも拡大することでしょう。

ではなぜ竹中某は、最大概念から平均概念に変更したのでしょうか。

それは、デフレギャップをより小さくみせることで、デフレ脱却のための財政支出の拡大を封じるためです。

財政支出の拡大を阻止することができれば、結局はデフレ状態は続きます。

このように意図的にデフレ状態を維持することで、人材派遣業などの大規模なピンハネビジネスで収益を稼ぐことが可能となります。

詰まるところ、今の政府が発表しているデフレギャップは実にインチキなのですが、そんなインチキを使っているにもかかわらず、需給ギャップはひたすらマイナスが続いているほどに日本経済は深刻なデフレなのです。

そこにまた、海外要因によるコストプッシュ・インフレが襲いかかってるという、実に複雑かつ深刻な経済情勢となっています。