地方自治体の議会は、公益に関する事件について意見書を国会もしくは関係行政庁に提出することができます。(根拠法:地方自治法第99条)
むろん、議会で議決し可決されればの話ですが…
例えば、川崎市議会の場合、3名以上の議員の賛同があれば、市議会に意見書案を提出することができます。
そして議会に上程され、議決に至ります。
可決(過半数以上の賛成)されれば意見書案が正式な「意見書」となり、国会もしくは関係行政庁に提出されますが、否決されれば廃案となります。
本日、私は無所属の議員有志とともに、「公平な税制の観点から宗教法人への税制優遇の見直しを国に求める意見書(案)」を市議会議長に提出します。
宗教法人への優遇税制については、私はかねがね大きな疑問をもっておりました。
その疑問の一つは以下のとおりです。
我が国の税制における租税原則には3つの原則があります。
①様々な状況にある人々が負担能力に応じて分かち合う公平の原則
②税制ができるだけ個人や企業の経済活動における選択をゆがめることがないようにする中立の原則
③税制の仕組みをできるだけ簡素なものとし、納税者が理解しやすいものとする簡素の原則
これら3原則が、我が国の税制を考える上での基本となります。
上記原則を前提としつつも、宗教法人については、法人税法上、営利を目的にしていない公益法人等に位置付けられていることから、34種類の収益事業を除く法人税のほか、宗教活動に使用するための土地や建物の固定資産税も課税されないなど、税制面での優遇がなされています。
そもそも、公益法人等が非課税にされている根拠は、公益的な活動が国等の活動を軽減・補助する効果がある点にあります。
しかしながら、宗教法人は公益法人とは異なり、信者の獲得、信者からの寄附等による財源で行う私的な宗教活動の拡大など、あくまでも自己が掲げる宗教的利益を追求するものであり、公益法人以上に非課税の措置が採られていることの根拠に乏しいものと考えます。
さらには、例えば民間人等が不動産を購入する場合、自己の収益を財源とし、所得税や法人税が課税された後の資金で購入しますが、購入した不動産にも更に固定資産税等が課税されますので、いわば二重の課税となっています。
一方、宗教法人の場合は、宗教活動に必要なものとして取得した不動産で、信者からの寄進などの信仰に根ざしたものではなく、信者、非信者の区別なく一律に徴収する拝観の対価としての事業収入である拝観料などを取得しても、不動産にも固定資産税等は課税されませんので、いわば二重の非課税になっているわけです。
ご承知のとおり、宗教法人の中には社会的に多くの不祥事を起こしてきた法人もあります。
例えば、旧統一教会のように税制を優遇された資金等を活用して政治活動や選挙活動等を担うなど、事実上、国政に干渉しているケースも見受けられます。
これは当然のことながら政教分離原則に違反するものであり、旧統一教会に関わる問題は、宗教法人への過度で不平等な税制優遇が引き起こしたものと言えます。
以上のような理由から私は当該意見書案を川崎市議会に提案することになりました。
勇気をもって賛同し共同提案者になってくれた無所属議員(吉沢章子議員、飯田満議員、月本琢也議員、三浦恵美議員)の4名には、その勇気に敬意を表しつつ心から感謝したい。
市議会本会議場での提案理由の説明、そして採決は、6月19日(水)の予定です。