国民負担は高まるばかり

国民負担は高まるばかり

月日の流れは早いもので、ことしも既に6月に入りました。

今月から、家計にとって身近な制度が変わり出費が増えます。

まず、所得税と住民税を1人あたり計4万円差し引く定額減税がはじまるものの、政府が補助金を半減したため電気料金やガス料金が値上がりします。

加えて医療分野では初診料の引き上げも予定されているほか、今朝のニュースでもJRが乗車料の値上げを検討しているとのことです。

実質賃金が24カ月連続でマイナス記録を更新しているにもかかわらず、様々な負担が増えていくわけです。

なお、今月から納税義務者約6,200万人を対象に、一人当たり年間1,000円の森林環境税が住民税に上乗せされます。

森林環境税は、森林の整備、人材育成、国産木材の利用普及啓発を目的に徴収され、譲与税として地方自治体に交付されます。

実は森林環境税については、徴収される以前の2019年から先行して自治体に譲与税が交付されており、この4年間で譲与された金額は1,280億円に及んでいます。

しかしながら、実際に活用されている金額は6割程度で、残りの4割は活用されず自治体の基金で眠っているのが実状です。

例えば、川崎市などのような都市部ではなかなかその使い道がないからです。

それでも川崎市民としての住民税には森林環境税が上乗せされます。

とにかく国民負担は増えていく一方です。

今月から始まる定額減税だって、1年度かぎりの極めて限定的なものです。

一方、「防衛財源を捻出する…」という名目での増税も予定されています。

この増税については、与党内の調整過程で賛否両論が巻き起こりましたが、結局は昨年末に閣議決定された「令和5年度税制改正大綱」のなかに増税が盛り込まれてしまいました。

ただ、実施時期については、「令和6年以降の適切な時期とする」となっています。

実施時期は未定とはいえ、増税を実行することは確定されています。

なんどでも言います。

現在の我が国においては、増税はもちろんのこと、各種公的サービスの値上げをする必要などありません。

変動為替相場制を採用かつ自国通貨建て国債の発行国である以上、財源は国債(通貨)発行で賄うことが充分に可能です。

デフレを脱却し、インフレ率上昇がコストプッシュからデマンドプルに転じた時点で国債(通貨)発行を抑制すればいいだけの話です。

政策決定者である政治家や官僚たちが正しい貨幣観をもっていないことこそが、現代日本における最大の不幸です。