ことし2024年は、コメ農家の廃業ラッシュになるかもしれない。
1965年に約488万戸いた水稲収穫農家は、2015年の段階で既に約94万戸までに減り、収穫面積は約6割も減っていました。
また、おコメの消費量の低下も凄まじい。
2020年の一人当たりの年間コメ消費量はたったの53キロで、ピークだった1962年が118.3キロの半分以下となっています。
コメの消費がここまで落ち込めば販売価格とともに生産力が落ち込んでしまうのも無理はないとも思うのですが、2021年度産米の販売価格は歴史的安値だった2014年度産米に迫る勢いで落ち込み、コメの在庫は過去5年で最小水準となっています。
食料安全保障の観点からも大問題です。
一方、ここにきて取引価格が不健全に高騰しています。
例えば、新潟産コシヒカリの5月の価格は前年同月比で6割高となっており約13年ぶりの高値で、あきたこまちの価格も同様に上昇しています。
コロナ後のインバウンド需要が回復して外食産業を中心にコメの需要が上がったものの、2022年、2023年は猛暑によりコメの品質が低下し流出量が減ったために品薄感が強まった、という背景があるようです。
「品薄だったら、もっと作りゃぁいいじゃん…」などと言う人がいますが、1971年から2018年まで行われた政府の愚策、すなわち「減反政策」の影響もあってそう簡単にはいきません。
麦とか飼料用トウモロコシとかに転作した農家に補助金を出し続けてコメ農家の供給体制を脆弱化させてきたのですから、ちょっとした市況の変化ですぐに需給バランスが崩れてしまうのも宜なるかな。
こうしたなか、コメ農家の経営は一層厳しさを増しています。
「厳しさ…」だどという言葉では言い尽くせぬほどです。
ことし3月、日本共産党の紙智子参議院議員が『食料・農業・農村基本法』の改定をめぐる参議院での審議のなかで、稲作農家の所得(時間あたり)の少なさを指摘していました。
紙参議院議員によれば、稲作経営の時間あたりの農業所得(1戸あたり)は、2005年は516円、2020年には181円、そして2022年にはなんと10円にまで落ち込んでいるとのこと。
このような状態を放置したまま、「日本の食料安全保障のためにコメ農家を続けてください…」と言えますでしょうか。
農業資材や農業器具などの値段が上がるなど、生産コストがものすごい勢いで上がっているため赤字幅は今なお拡大しているはずです。
もっと早い段階で、政府がおコメを固定価格で買い取り、余剰米を備蓄としても確保しつつ海外援助などにも使い、さらには学校給食を原則おコメにするなどの措置をとっていれば、状況ははるかに異なっていたはずです。
むろん、遅すぎることはない。
今からでもやってほしい。
コメ農家だけではありません。
酪農家もそうです。
酪農家が丹精込めて作った牛乳を捨てさせ、コメ農家を廃業に追い込んでおきながら、「コオロギを食え」などという政府はどうかしています。