直近における国政の焦点は、「骨太の方針2024」の行方です。
5月23日、総理大臣官邸では経済財政諮問会議が開かれ、来月にもまとめる「骨太の方針2024」をめぐって意見が交わされました。
「骨太の方針」の正式名称は『経済財政運営と改革の基本方針』で、内閣総理大臣が経済財政諮問会議に諮問し、同会議での審議と答申を経て閣議決定されます。
閣議決定されることで、ここで決められた経済政策・財政政策に法的根拠がもたらされます。
小泉内閣以来、毎年、「骨太の方針」にはPB(基礎的財政収支)黒字化目標が盛り込まれ、緊縮財政の法的根拠とされてきました。
ポイントは、この正気の沙汰とは思えぬ「PB黒字化目標」を、今年こそ「骨太の方針」から除外し、破棄できるかどうかにあります。
自民党内にいる積極財政派には、ぜひとも頑張って頂きたい。
むろん、財務省を中心とした緊縮財政派は、PB黒字化目標どころか、さらなる緊縮目標を「骨太の方針」に盛り込もうとして必死です。
さらなる緊縮目標とは、「財政収支の黒字化」といわれています。
PB(基礎的財政収支)が、債務償還費とその利払いを除く歳出、すなわち政策経費と税収とをバランスさせることを意味しているのに対し、財政収支は、利払いを含む歳出、すなわち「政策経費+利払い」と税収とをバランスさせることを意味します。
当然のことながら、財政収支をバランス、もしくは黒字化させようとするならば、今よりもさらに厳しい緊縮予算を組まねばなりません。
つまり、社会保障を含めた政策経費を今以上にカットし、加えて各種税率と社会保険料負担を今以上に引き上げるということです。
しかしながら、現今の日本経済は、デフレとコストプッシュ・インフレが併存しており、その出口は未だ見えていません。
すでに実質賃金は24カ月連続で下落し、人手不足や資材高騰によるコスト負担の上昇、および高止まりしている輸入物価の影響等もあって消費者物価は上昇しています。
加えて、政府の補助金が打ち切られることによって、6月からは電気代やガス代が急騰します。
国民生活が塗炭の苦しみにあるなか、それでもなお更なる緊縮財政を行おうとする政治家および官僚は、貨幣に対する無知とはいえ、もはや人としての心を失っているとしか思えない。
はたして、どうなるでしょうか。