第二次世界大戦前との類似点

第二次世界大戦前との類似点

それにつけても、世界は実にきな臭い方向に向かっているように思えてならない。

なぜなら現在の国際情勢が第二次世界大戦に向かった1940年代初頭の情勢に類似しているからです。

第二次世界大戦は、いわば3つの地域的紛争の集合体でした。

例えば我が国は、1937年以降、蒋介石軍に引きずり込まれる形で支那事変を闘い、資源確保という戦略上の理由から仏印に進駐し、やがて石油供給を絶たれて真珠湾攻撃(対米英戦争)に踏切ることになりました。

一方、欧州では、ドイツが東方生存圏と欧州大陸での覇権を手にしようと1941年6月にポーランドに侵攻しましたし、イタリアはアフリカと地中海において覇権を築こうとした帰結として、1940年6月に第二次世界大戦に突入しています。

ある意味で、これら3つの別々の地域的紛争が統合され世界大戦に至ったと仮定することができるのではないでしょうか。

だとすれば、現在もまた、国際システムは3つの難しい地域的紛争に直面しています。

まず、2022年2月、ロシアは西側陣営に追い詰められるかたちでウクライナとの戦争に踏み切りました。

因みに、あれを「ロシアによる侵略戦争だ…」と言っている人たちは、東京裁判史観のままに「大東亜戦争は侵略戦争だった…」と言っているに等しい。

あれだけのことをされたら、「東ヨーロッパと旧ソビエト圏での優位を取り戻さねばならぬ…」という意図をロシアが抱いても不思議ではありません。

一方、イスラエルとハマスの紛争により中東情勢も緊迫しています。

やがてこれが、イランとイスラエルの全面衝突に至らないという保証はありません。

さて、三つ目の地域的衝突は、やはり中国による海洋紛争です。

むろん、台湾有事も含め、今後もこの地域において軍事的緊張が緩和することはないでしょう。

ご承知のとおり中国は、米国を西太平洋から締め出す作戦の一環として、急速に軍事力を増強しています。

しかも、共にリビジョニスト国家と言われる中国とロシアの関係は「戦略的パートナーシップ」によって緊密化しています。

米国のブリンケン国務長官がBBCの取材に対して答えていましたが、中国と中国の一部の企業は工作機械、超小型電子部品、精密光学製品などのロシアの防衛生産基盤にとって不可欠な要素を提供しまくっているようです。

これらは、ロシアの砲弾、装甲車、戦車、ミサイルなどの増産ペースを著しく飛躍させるものであり「その増産ペースはロシアの現代史でも前代未聞のスピードである」とブリンケン国務長官は嘆いていました。

今や、ロシアが国外から獲得している工作機械の7割、超小型電子部品の9割が中国からだという。

これを受け米国は、100社以上の中国の企業や機関に禁輸措置など複数の経済制裁を行っていますが、どうやら制裁の効用は薄いようです。

ブリンケン国務長官は今後さらに追加制裁を課すと明言する一方、中国の王毅外相は「中国と米国の関係は現在、岐路にありどの方向に向かうかわからない」と警告の意を示しています。

ゆえに、もし米国が追加制裁を発動すれば両国の関係は確実に悪化することになるでしょう。

中国がもたらす南シナ海での海洋紛争、あるいは台湾有事を含めた東アジアでの米中衝突が、やがて現在進行中の中東紛争やロシア・ウクライナ戦争と結びつき統合化されたとき、まさに第三次世界大戦の勃発となります。

むろん、そうならぬことを祈りたい。