露朝接近と半島情勢

露朝接近と半島情勢

東京の大國魂神社では4月30日から「くらやみ祭」が行われていますが、本日5月5日は特に重要な年中行事でもある例大祭が行われます。

ゴールデン・ウィーク真っ只中であることからも、JR線府中本町駅や京王線府中駅の周辺は観光客も含めて大勢の人々で溢れかえることでしょう。

さて、三日前に韓国外務省が「北朝鮮による韓国在外公館職員らを狙ったテロ計画の情報がある…」と発表しました。

韓国政府は、カンボジア、ラオス、ベトナムの各大使館、及びウラジオストクと瀋陽にあるそれぞれの総領事館の警報レベルを「関心」から「警戒」に2段階引き上げたらしい。

テロ計画の真偽はわかりませんが、ここのところ北朝鮮が強気にでている背景には、ロシアとの関係が極めて良好になっていることがあるのでしょう。

昨年(2023年)7月、北朝鮮のカン・スンナム国防相とセルゲイ・ショイグ国防相が平壌で会談し、北朝鮮とロシアにとって米国を共通の敵とし「断固として立ち向かうために軍事協力を拡大していく…」という約束を交わしています。

その2カ月後には、プーチン大統領はアムール州ボストチヌイにある宇宙基地に金正恩総書記を招き首脳会談を実現させ、よほどに嬉しかったのか金総書記はプーチン大統領を「朝鮮民族のもっとも親しい友人」と称えました。

この二人の交流は、岸田とバイデンの薄っぺらい交流とは異なり利益共有という実体を伴っています。

ロシアは北朝鮮に対し、戦闘機、地対空ミサイル、装甲車、弾道ミサイル製造に必要な装置等々を与え、あまつさえ食糧援助をも行っています。

そういえば北朝鮮は、失敗続きだった軍事偵察衛星の打ち上げを、プーチン大統領との首脳会談の2カ月後には初めて軌道に乗せることに成功しています。

一方、北朝鮮はウクライナ戦争で使用されている大砲の砲弾をロシアに提供しています。

その砲弾の2割は発射できない不良品ですが、それでもロシアにとっては有り難いことのようです。

しかも北朝鮮はロシアに長距離ミサイルも提供しています。

長距離ミサイルはウクライナから離れたロシア領内から発射することができ、ローテクであるがゆえに相手側に探知されにくい利点があるという。

こうした北朝鮮の軍事支援は、ウクライナ軍の攻勢を阻止するうえで今や大きな役割を果たしているのかもしれません。

なによりメイド・イン・ノースコリアの兵器を実戦投入できることは、武器輸出を外貨獲得の手段としている北朝鮮にとっては実に大きなメリットです。

また、ロシアと北朝鮮の連携強化は朝鮮半島への中国の影響力を弱めていることから、しばらくは極東の地政学リスクを高めることになるでしょう。

現に「ロシアがウクライナに向け北朝鮮の弾道ミサイルを初めて発射した」という報道が流れて間もない今年(2024年)年1月5日、北朝鮮は韓国との国境近い海域に数百発の砲弾を打ち込んでいます。