概ね5年に1度行われる「年金財政検証」(将来の公的年金の財政見通し)ですが、厚労省の審議会で本格的な議論がはじまりました。
5年前の2019年の検証では「約30年後の標準的ケースの給付水準が2割減る…」とされていました。
ことしの検証では、国民年金の保険料納付期間を5年延長する案(65歳まで)が検討されているようです。
今朝のワイドショーでも、専門家!?とやらが実にご尤もそうに、国民年金保険料の納付期間の延長など、あるいは給付水準を抑制しなければ年金財政は立ち行かない、などと解説していました。
いつもながら、年金のプロと称する知識人で「正しい貨幣観」を有している人をみたことがない。
「おカネは金貨銀貨のことだから、どこかにプールしておかねばならない…」という商品貨幣論者がほとんどです。
あまつさえ今後、少子高齢化がますます進むため、「プールしたおカネを株式や債券で運用して増やさねばならない…」と本気で思っているようです。
しかしながら、年金財政なんぞは、政府が新たに通貨を発行して財源確保すればいいだけの話です。
べつに株や不動産で運用する必要なんて一つもありません。
大切なことは、新たに通貨を発行できる経済力をこれ以上毀損しないことです。
申し訳ないけれど、いかに年金の専門家であろうと、貨幣についてド素人の人は財源問題に首を突っ込まないでほしい。
よく日本のマスコミも「年金崩壊」とか「年金破綻」というセンセーショナルな言葉をつかって将来不安を煽りますが、そもそも崩壊や破綻の定義をきちんとすることはほとんどない。
因みに、2009年5月1日付けの読売新聞の紙面では、「厚労省の試算によると、年金は2031年度に破綻」と報じられています。
すなわち、あと7年で破綻するとのことでしたが、さすがに今回の年金財政検証でも「あと7年で破綻」などという見通しをもつことは無いでしょう。
一時期、年金未納者が増えていることをもって「年金破綻」が騒がれていましたが、国民年金の未納者が増えたのは、デフレによる実質賃金の低下が主因かと思われます。
もちろん「どうせオレたちは年金なんてもらえない」と決めつけ、納付していない若者もいるにはいるでしょうが、悪いことは言わない。
しっかりと納付することをお勧めします。