イラン中部イスファハン近郊の空軍施設が4月19日早朝に攻撃されたことについて、イランメディアは「イランの防空システムによって3機の無人機を撃墜した…」と報じていました。
一方、イスラエル側は正式な声明を出してはいなかったものの、CBSニュースによれば、米国政府高官2人がイスラエルのミサイルがイランを攻撃したことを認め、またニューヨーク・タイムズは2人のイスラエル当局者などがイスラエルによる攻撃であったことを認めたと報じています。
さらに別の米国メディアは、この攻撃について「限定的だった」との見方を伝えています。
イラン側もイスラエルを非難する声明を出していません。
例えば、イラン国営メディアは「イスファハンは平穏で、核関連施設にも被害はない」としています。
その後、イランのアブドラヒアン外相は、攻撃に使用された兵器について「おもちゃのようなものだった」としたうえで、「イスラエルが重大な攻撃を開始しないかぎり、イランは反応しない」と強調していました。
また、今月13日から14日にかけてのイスラエルへの攻撃については「警告を目的としたものだった」と述べているあたり、イランとしては実に慎重に対応をしていることがわかります。
4月20日の段階になるとニューヨーク・タイムズが「19日のイスラエルによる攻撃で、イランの防空システムに被害が出ていた」と報じられています。
記事には「ミサイルはイランの領空から遠く離れた場所にいた戦闘機から発射され、イランのレーダー防御を回避できる技術を持っていた」とあり、一部には「イランの核施設に被害が出ていた」という報道もありますが、それでもイランは「あくまでも被害はない」としています。
報道でみるかぎり、どうみてもイランのほうが辛抱強く大人な対応をとっているように思います。
さて、イスラエルのネタニヤフ首相は、すでに多くの有権者からの信頼を失っているとも仄聞します。
直近の世論調査によれば、イスラエル市民の5人に4人は、10月7日のテロを許した失態の最大の責任者をネタニヤフ首相だとみているようですし、ほぼ4人に3人がネタニヤフ首相の辞任を望んでいるとも。
しかしながら、どこかの首相と同様で、ネタニヤフ首相もまた、自身の政治的生存を最優先に考えているようですので、進んで退陣することはなさそうです。
日本のメディアは報じていませんが、現在、イスラエルはネタニヤフ首相の司法改革案によって国内が分裂しています。
ゆえに、あえて外に脅威をつくることで国内をまとめようとしているのだと推察します。