罹患後症状と治療

罹患後症状と治療

新型コロナウイルス感染症が感染症法上の「2類相当」から「5類」に移行してからまもなく一年が経ちます。

街ではマスクをされる人の数が日に日に減っているように感じます。

とはいえ、新型コロナについては未だ不明な点が多い。

厚労省によれば、感染してもほとんどの人が時間経過とともに症状は改善したのですが、一部の人たちについては未だ症状が長引いているようです。

感染後、例えば疲労、あるいはブレインフォグ(頭に霧がかかったようにぼんやりとしてしまう症状)などの症状が治らず、長期にわたり苦しんでいる方々がおられます。

いわゆる「Long Covit」(長期のコロナ罹患後症状=後遺症)です。

岸田首相が訪問している米国でも、国家非常事態宣言が撤回されてから4年ちかくが過ぎましたが、いまだに後遺症に苦しむ人が多いという。

コロナ後遺症の定義を「感染後に少なくとも症状が12週間続く後遺症」とすると、なんと世界中で数百万人が罹患しているらしい。

一方、英国では、ICL(インペリアル・カレッジ・ロンドン)が同国内で最大規模の研究調査を行い、実に興味深い調査結果が報じられています。

新型コロナウイルスで重症となり入院した患者650人以上を対象に調査をした結果、なんと6カ月後、3人のうち2人に次のような症状があったという。

倦怠感、内臓疾患、不安症、うつ、ブレインフォグ、息切れなどの肺や心臓の症状などなど。

そこで研究者らが患者の血液を分析したところ、以下のタンパク質を特定したという。

ILー1R2、MATN2、COLEC12、CSF3、C10A、SPON-1、NFASC

ド素人の私には詳しいことはわかりませんが、専門家によると、これらは免疫系の炎症のマーカーで、身体が感染症と闘っているときには有益に働くのだが、ウイルスがいなくなった後はそうではないという。

また、重症患者については倦怠感などの特定の症状リスクが高まることがわかったようです。(軽症の場合は身体に同じ影響があるかどうかは不明とのこと)

ICLの研究はまだまだ途中段階のようですが、その結果が将来の臨床試験を促すかもしれないという。

さて、我が国のコロナ後遺症対策はどうなっているのでしょうか。

厚労省の取り組みをみますと、①実態把握、②適切な医療へのアクセス向上、③社会保障制度による支援、④情報の周知と啓発、⑤病態解明・治療法の開発、というように実にそれらしい項目が並んでいます。

しかしながら、それらが具体的にどこまで進んでいるのかは明らかにされていません。

適切な医療へのアクセスを向上させる(②)ためには、なによりもまずは実態把握(①)と病態解明・治療法(⑤)が急がれるのではないでしょうか。

例えば、病態解明については、AMED(日本医療研究開発機構)において研究調査が令和3年度から行われているようですが、進捗状況は不明。

そろそろ中間報告くらいは発表してほしいものです。

この種の問題については、いつも先行するのは欧米です。