先週4月5日に総務省から2月分の『家計調査』が発表されています。
二人以上世帯の実質消費支出は前年同月比マイナス0.5%となりましたので、これで12カ月連続のマイナスです。
現在の日本は家計消費に加え、実質賃金も大幅な下落が続いています。
実質賃金(現金給与総額)については、なんと22カ月連続のマイナスで、「きまって支給する給与」に至っては24カ月連続のマイナスが続いています。
このような状況下では、家計の実質消費支出が増えるわけもない。
賃金の上昇が物価の上昇に追いついていかないために、結果的に国民は消費を量で減らしているわけです。
しかしながら、実質賃金を上昇させる条件や環境が皆無なわけではありません。
何しろ、労働市場は人手不足です。
また、安い賃金で働く生産者は着実に減りつつあります。
とりわけ、運送部門、土木・建設部門、医療部門など、ただでさえ人手不足が深刻な分野においては、今月から働き方改革による「残業規制」が適用されています。
これも繰り返しになりますが、実質賃金は「生産性」と「労働分配率」で決まります。
人手不足は、やり方さえ間違わなければ「生産性向上」のチャンスになり得ます。
むろん、労働分配率については、株主資本主義の見直しが必要となりますが…
そして外部要因として実質賃金に影響を与えるのが、消費税増税と輸入物価上昇です。
仮に生産性が向上し、株主資本主義が見直され人件費比率が高まったとしても、消費税増税と輸入物価上昇の影響によって相殺されてしまいかねない。
ここのところ輸入物価の上昇は一息ついているようですので、政府が採るべき政策は次のとおりです。
まずは消費税の廃止、もしくは減税。
加えて、生産性向上に向けた企業投資を促すための財政政策(需要創造)です。
もしも実質賃金と実質消費が相乗的に増えていく環境を取り戻すことができたのなら、多くの企業は労働分配率を引き上げてでも人を雇い、生産性向上のための投資をさらに拡大させていくことになるはずです。
ゆえに現在の実質賃金と実質消費支出の下落は、明らかに失政の結果です。