米国ではバイデン大統領が7月4日の独立記念日までに成人の7割が必ず一回はワクチン接種を済ませることを目標に掲げていたのですが、5月に入って接種ペースが鈍化したため目標には到達しませんでした。
むろんその理由は、人口の一部がワクチン接種を受けていないことにありますが、そのなかには「自分たちは新型コロナに感染しても高齢者ほどには重症化しない」と考え、積極的に接種を受けない18~26歳の若者が含まれます。
この点は日本と同じです。
興味深いのは、米国では州によって接種率が異なっていることです。
とりわけ共和党支持の強い州では接種率が低く、民主党支持の強い州では接種率が高くなっています。
例えば民主党の強いニューヨーク州などでは既に接種率が7割を超えています。
そうしたなか、フィナンシャル・タイムズは次のように報じています。
「ワクチン接種率の低い州でどのくらい感染が拡大し、どのくらい入院率が上昇しているか、それに対しどれだけ対応できているかにも拠るが、接種率の高い州とそうでない州とでは既に明確な違いが生じており、接種率の高い州では生活はほぼ平常に戻っている」と。
基本的に各州は接種率向上にむけ様々に努力をしているようで、例えば接種者に対し「無料の飲料」や「宝くじ」などを用意するなど、あの手この手をつかって接種率の引き上げに努めているようですが、あまり効果は上がっていない様子です。
因みに、日本では考えられないことですが、米国では接種率の向上のために、ワクチン接種が不安であったり、あるいは接種を拒否するコミュニティの人たちに対して「なぜ自分にとっても家族にとっても、そしてコミュニティにとってもワクチン接種を受ける必要があるのか…」ということを保健関係者たちが個々に説明してまわっています。
はたして米国は集団免疫の獲得に成功するのでしょうか。
一方、ファイザー社やモデルナ社など、主要なワクチンメーカーの株価が史上最高値、もしくはその付近の水準にあることから、バイオテク企業に対する投資家の関心が極めて高くなっていることに注目が集まっています。
「この一年、この十年は、科学の一年、科学の十年だ」と言う人もいるくらいです。
そのとき重要となるのはプロジェクトを支援する資金量なのでしょうけど、それ次第では様々な治療法が開発される可能性が大きい。
根強い批判がつきまとうmRNAですが、今後はmRNAを使った治療法の開発が加速化することもありえます。
例えば、モデルナやその他の企業は、mRNAを使ったHIV・エイズウイルス・心臓疾患などの治療法を既に開発中です。
各社の試験段階は様々のようですが、既にインフルエンザと新型コロナワクチンを組み合わせたワクチンが開発されています。
少なくともインフルエンザワクチンについても、今後はmRNAワクチンが主流になっていくのでしょう。
断っておきますが、私がここで申し上げたいのは事の良し悪しではありません。
個人的にバイオテク企業の株を保有しているわけでもありませんし、ましてやこれらに投資しているわけでもありません。
あくまでもアカデミックな情報をもとに一人ひとりが行動すべきであって、いかにして集団免疫を獲得していくのかを問うているだけです。