東京五輪の開催日(7月23日)まであとわずかとなりました。
8月24日には、パラリンピックもはじまります。
競技場の観客数の上限については7月16日までに最終決定するようですが、最大でも1万人以下、もしくは無観客での開催も選択肢に入れ調整が続いているようです。
なお、大会期間中、東京都ではバーの営業制限などの対策を検討しているようですが、効果のほどはよくわかりません。
こうして刻々と開催が迫っているなか、公衆衛生や医療の専門家たちは「大会で新型コロナウイルスの感染が拡大してしまう」と警告を発しています。
新型コロナウイルスの新規陽性者の数を1週間平均で比較すると、専門家たちの警告を裏付けるかのように、全国の新規陽性者は横ばいから増加に転じ、東京都など首都圏では増加傾向が顕著となって第5派の拡大が懸念される状況になっています。
とりわけ医療専門家らは、大会を安全に開催するには、東京都の1日あたりの新規陽性者が100人を下回る必要があると主張していますが、現実は厳しく、きのうも東京都内では新たに660人の陽性が確認されています。
先週の金曜日より98人増えて、13日連続で前の週の同じ曜日を上回っている計算になります。
こうしたなか政府も自治体もワクチン接種を加速化させていますが、残念ながら五輪開催までの集団免役の獲得は到底不可能です。
日本において、これまでにワクチン接種を1回受けたのは国民の36.7%にとどまっていて、インドで1回以上ワクチン接種を受けた人の割合とほぼ同じレベルです。
上のグラフのとおり、英国、米国、ドイツ、フランスなどの先進国では人口の半数以上が1回以上の接種を済ませています。
日本がワクチン接種を開始したのは実質的には4月に入ってからで先進国よりだいぶ遅いものでした。
しかも日本で承認されたワクチンがファイザー製だけという時期が長く続いたこともあって、未だ接種率が低い。
日本ではワクチンに関して消極的な国会議員たちがずいぶん呑気な附帯決議をつけて予防接種法を改正したものだから、国際的な臨床試験と並行して日本独自の試験を実施することになってしまい、そのことが承認に時間がかかった最大の理由です。
けっして厚労省が守旧的であったということではありません。
因みに、英国のインペリアル・コレッジ・ロンドンが行った研究(15カ国を対象)によると、新型ウイルスのワクチンへの信頼度は日本が最も低かったという。
アストラゼネカとモデルナのワクチンに関しては、つい最近の5月に製造と使用が承認されています。
ようやく日本は、ファイザー、アストラゼネカ、モデルナの各社製ワクチンを計3億回分以上確保でき、一応これで全国民に接種するのに十分な量が確保されていることになります。
なお、我が国の法律ではワクチン接種ができる人を医師と看護師に限定していますが、接種を加速させるために現在では歯科医師、救急救命士、臨床検査技師にも特例で認めています。
むろん、それでも先進諸外国には追いつくまでには至っていません。
懸念されるのは、ファイザー社製のワクチンは冷凍状態(マイナス15℃以下)で運搬しなければならないという制約があるにもかかわらず、自治体によっては冷蔵状態(2~8℃)でワクチンを運搬しているケースが横行していることです。
ファイザー社製のワクチンの場合、抗原をつくるためのmRNAが非常にデリケートで壊れやすいために保護的脂質シェルの中に入れてあります。
実は、この保護的脂質シェルもまた衝撃や振動に弱い。
この脂質シェルが破損すれば、もちろんmRNAも破損してしまういます。
だからこそ、脂質シェルそのものが衝撃や振動で破損しないように、ファイザー社はマイナス15℃以下という完全に凍った状態を維持して移送せよ、としているわけです。
そのファイザー社の説明書きを一切無視して移送している自治体はけっして少なくありません。
残念ながら、衝撃振動を加えられたワクチンを接種されてしまった人ワクチン効果が保証されません。
今後もしも日本でブレイクスルー感染者の数が拡大してしまったとしたら、それはおそらくこの衝撃振動ワクチンが原因ではないかと推察します。
少なくとも今回の東京五輪の開催は、新型コロナウイルス感染をどのように抑え込むのかが最重要課題となります。
変異ウイルスの拡大 vs ワクチン接種、の攻防がつづきます。