OECD(経済協力開発機構)の加盟国をふくむ130の国と地域は、国際的な法人課税のルールについて大枠で合意しました。
1980年代以降からはじまった「グローバリズム」「ネオリベラリズム」「株主資本主義」に基づく法人税引き下げ競争に歯止めをかけるため、最低税率を少なくとも15%にするという。
この40年間、各国は企業を誘致をしようとするあまりに「税率競争の罠」に嵌ってきたわけですが、ここにきてグローバリズムの揺り戻し、もしくは見直しの兆しがでてきました。
また、グーグルやアマゾンなどの巨大IT企業を念頭においたデジタル課税は、売上高が約2兆6000億円、利益率が10%を基準にしておよそ100社を対象にする模様です。
2023年からの導入をめざして、7月9日から開かれるG20財務省・中央銀行総裁会議で合意するとのことです。
当初は「合意するのは困難ではないか…」と言われていましたが、意外とあっさりと合意しそうです。
とはいえ、歯止めと言いつつも最低税率は15%なので、各国にとってそれほど高いハードルではありません。
例えばG7の国で15%を下回る国はありませんし、OECD加盟国をみても15%を下回っているのはアイルランドとチリとハンガリーぐらいのもので、これらの国々については交渉継続となっているようです。
15%というのはあまりにも低すぎる歯止めだと思うのですが、この場合、税率よりも「法人税引き下げ競争の終焉」という政治的事実こそが重要かと思われます。
明らかに世界は今、「脱グローバリズム」に向かいつつあることを痛感します。
グローバリズムとは「国境を否定し、雇用や産業を保護する産業政策は悉く間違いであり、規制の撤廃こそが唯一の成長戦略だ」というドグマです。
しかしながらドグマはドグマにすぎませんでした。
その証拠にグローバリズムは、各国の雇用と所得を縮小し格差を拡大させ、災害やテロや金融危機に脆弱な社会にしただけです。
そもそも資本主義は、国家という枠内で市場とガバナンス(統治)を発展させてきました。
即ち、市場は国家ごとのルールに基づいて統治され、はじめて真っ当に機能するものです。
そうした国家のルールをぶち壊し、ただただ自分たちのビジネス利益の最大化を追求してきたレントシーカーたちがいます。
彼らは未だ我が国の権力中枢に巣食っています。
それを排除できぬ政治。
民主主義国家においては、その政治を支えているのは国民です。
世界は変わりつつあるのに…