日銀は、明日の3月18日、明後日の3月19日の二日間にわたり開かれる金融政策決定会合において、マイナス金利政策を解除する見通しとのこと。
企業の内部留保(現預金)はすでに300兆円を超えており、その余裕からか2024年の春闘労使交渉において賃上げ率は33年ぶりの高水準に達するようですので、そうしたこともマイナス金利解除への圧力になっているのかもしれません。
これで一応は、17年ぶりの利上げということになります。
市場関係者の次なる関心は、「このまま大規模緩和は出口に向かうのか…」にあるものと思われます。
しかしながら、マイナス金利を解除するとはいえ、ゼロ金利政策は続けていくことになるでしょうから、短期プライムレートが上がらないかぎり、私たちの生活にはほとんど影響はないでしょう。
ご承知のとおり、短期プライムレートが上がると「住宅ローン金利」などに影響することになりますが、たぶん今回は影響しないものと思われます。
注目されるイールドカーブ・コントロールについては、少なくとも10年物国債の金利は1%以内(0.7〜0.8%程度)に抑えられ続けるでしょうから、基本的に緩和政策は継続されるものと推察します。
緩和政策を続けざるを得ないのは、むろん、経済基調は依然としてデフレだからです。
深刻な人手不足によって賃上げされる業界は多いものの、経済はあくまでもデフレです。
竹中先生が拵えた、デフレギャップを極小化させて見せるための「平均概念の潜在GDP」でも、日本経済は3.3兆円のデフレギャップになっています。
よって、実際のデフレギャップは、10兆円以上はあるのではないでしょうか。
当たり前ですが、このギャップをマイナス金利の解除で埋めることなどできません。
また、私たち国民が豊かさを実感するためには、何よりも実質賃金が安定的に上昇していかなければなりません。
実質賃金は、生産性と労働分配率で決まります。
消費税増税や輸入物価高騰などの外的要因によっても影響を受けますが、基本的には生産性と労働分配率で決定します。
2024春闘で賃上げ率が高くなるのは労働分配率の話ですが、そのような一過性のものだけではなく、企業が生産性向上のための投資をしてくれることで実質賃金が安定的に押し上げられるのが王道です。
では、企業が生産性向上のための投資をしてくれる環境とは…
むろん、デフレギャップが解消され、「いま、投資をすれば必ず儲かる…」という環境です。
何度でも言います。
デフレギャップを埋めるのは通貨発行権を有する政府の仕事です。